番外編 過去のひとへ2

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番外編 過去のひとへ2

「あ……っ! 貴徳……!」  切なげな声が部屋に響く。俺は今しがた隠したばかりの祐輔さんの切っ先を、下着から出して唇を窄めて扱き上げた。先端からはジワジワと愛液が溢れ出て、味も相まって泣いてるみたいだな、なんて思う。  泣いてるなら、俺が慰めてあげます。祐輔さんが俺にしてくれたように、身体も心も慰めてスッキリさせてあげますから、と顔を上下に動かした。  祐輔さんはさらに甘い声を上げ、イクから、と俺の髪の毛を掴む。ぐい、と引っ張られ口を離すと、腰を震わせ悶える祐輔さんがいた。もしかして、本当にイキそうだった? 口の中に出しても、俺は祐輔さんの精液なんて抵抗なく飲んでみせるのに。 「お、ま……その止まらなくなるクセ、どうにかならないのか……」  はあはあと、息を乱しながら祐輔さんは身体を起こした。興奮して何も耳に入らなくなるのは自覚ある。ごめんなさい、と謝ると、祐輔さんはなぜかグッと息を詰めた。そして頭を撫でられる。優しい手……好きです祐輔さん。 「引っ張って悪い……。ほら、俺じゃなくて、お前に気持ちよくなって欲しいから……」  だから早く挿れてくれ、とポツリと呟いた祐輔さん。でも解さないと、と言うと、いいから、と返ってきた。 「多分……まだ柔らかい……。昨日の夜もしたのに、どうしてこんなにしたくなるんだろーな……」  そう言って、祐輔さんは俺に抱きついてきた。なにこれかわいいんですけど。  確かに昨日もしてて、疲れてたのかそこそこで止めてしまったのだ。十代の成長期男子じゃあるまいし、俺もどうしてこんなにも欲が溢れてくるのか、分からない。  そして祐輔さんも同じだと思うと、胸がきゅん、とするのだ。やばい、かわいい。かわいくてイキそうだ。 「じゃあ、俺の上に乗ってください」 「ん」  服を全て脱いだ俺はソファーに座り、祐輔さんが跨ぐように立った。祐輔さんの下着は尻が丸見えで、穿いたまま致すことができる何ともエロい下着だった。 「ん……、ぁ……っ」  自らローションを塗り付けた祐輔さんがゆっくりと腰を落として、俺を飲み込んでいく。言う通り祐輔さんの中は柔らかく、熱い粘膜に包まれ自然と息が上がった。ぶるりと肩を震わせると、祐輔さんは口角を上げてこちらを見ている。その狙った獲物を捕らえたみたいな顔、最高にカッコイイ。  でも、と俺は祐輔さんを突き上げた。途端に余裕だった彼の顔が歪み、太ももが震え出す。  イニシアチブをとるのはこっちです。俺は祐輔さんを足腰が立たなくなるまで翻弄したい。  じゅぷじゅぷと、ローションと空気が混ざる音がする。上下する祐輔さんの顔は上を向いていて、動く度に声を上げていた。そして祐輔さんの蕾は俺をしっかり咥え込み、中で複雑に動き絡みついてくる。 「あ、あ、……貴徳っ、ダメだイキそうっ、いく、い……っ!」  また祐輔さんの腰が激しく震えた。同時に中もギュッと締まり、ちぎれるんじゃないかと思うほど奥へと引っ張られる。 「……っ!」  ……危うく今のでイキそうだったのを何とか堪えると、続く絶頂でフラフラしている祐輔さんの唇を奪った。彼は苦しいから止めろと顔を背けたけれど、しつこく追って舌を無理やり絡め、また突き上げる。途端にまた顎を上げた祐輔さんの、うっすら出ている喉仏を舐めると、彼はまた絶頂していた。 「あ! や! 止まんない! 貴徳っ、イクの止まんない……!」 「んん……かーわいい、祐輔さん……」  泣きそうな声で喘ぐ祐輔さんを、俺はそっと引き寄せ自分に凭れさせる。素直に首に腕を回した俺の恋人は、俺の後頭部の髪をちぎれんばかりに引っ張って、絶頂に耐えていた。 「すーごい……中、ヒクヒクしてますよ? 気持ちいい?」  ぎゅうぎゅうと、しがみついてくる祐輔さんがかわいい。ちょっと力は強いけど、それほど感じてくれてるんだと思ったら、愛しさしかない。 「気持ちいい! ああ! またイク、イク、イクイク……!!」  本当に止まらない、どうしようおかしくなる、と叫びながら、祐輔さんは腕と後ろで俺にしがみついてきた。それでももっと、と言うので、俺は祐輔さんの胸の突起を両手でギュッとつねる。 「──あああああっ!」 「……ぅ……っ!」  途端にこれ以上ないくらい後ろが締まった。突き当たりのない、どこまでも深く奥まで吸い上げられる気がして、堪らず精を放ってしまう。 「……っあ! ん、んん……っ」  ブルブルと、身体を震わせながら、祐輔さんも射精したみたいだ。ああかわいい、触ってないのに出ちゃったのか。  俺は祐輔さんの吐き出した熱を、確かめるためにそこに手を伸ばした。ヌルヌルしているそこを思わず撫でると、祐輔さんは小さく悲鳴を上げてしがみついてくる。 「いっぱい……出ましたね……」 「──ん! や、そこに塗り付けんな……っ」  俺は祐輔さんの残滓を、そのまま胸の突起に塗り付けた。ヌルヌルした指でコリコリと胸を摘むと、甘い声を上げて祐輔さんは悶える。かわいい。かわいくて、もっといじめたい。  俺の中心が萎える間もなく元気になった。これ、また動いてもいいかな? しかし本当に祐輔さんは、俺を元気にさせてくれる。……色んな意味で。 「ちょっ……んゃ、イッたばっかだからちょっと待てって……!」  祐輔さんの中はまだヒクヒクしてる。射精の余韻がまだ収まっていないのだと思うと、このまま激しく突いて泣かせたくなるなぁ。 「ダメですか? 祐輔さんの中、気持ちよくてずっと挿れていたい……」 「だ、ダメだって……! だ、……め! またイクから……!」 「ふふ、止まらない祐輔さんかわいい……っ」  俺の目の前で背中を反らし、とろんとした顔でイヤイヤと首を振る祐輔さんが愛おしい。そう思ってそのツルツルの顎にキスをした。  ──ねぇ美嘉。俺、美嘉以上に大切な人ができたよ。だから安心して。約束通り、美嘉のことを過去のひとにできそうだ。このひとを……祐輔さんを、俺は美嘉以上に幸せにするから。 「ああっ、貴徳……っ!」  俺は心の中でそう誓い、かわいい恋人をギュッと抱きしめ、力尽きるまで何度も貫いた。  番外編 [完]
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