幼稚園の不思議で不気味な怪物達と一人の少女

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幼稚園の不思議で不気味な怪物達と一人の少女

此処は………何処。少女はとある場所に連れてこられ、気を失っていた。此処は一体何処なのか。よく分からない。少女はとりあえず目を覚まし、辺りを散策して見ることにした。※これはホラーゲームガーテンオブバンバンのオマージュ作品で、ファンメイドキャラメインのオリジナルファンメイドストーリー小説です。本作ガーテンオブバンバンにおけるキャラも出てきますが、大体はオリジナルキャラが主体になります。また、過激な表現も多少含みます。本家のガーテンオブバンバンとは関係ありません。 第一話 幼稚園に迷い込んだ少女 チャプター① 少女の名はミラ・シャルロット。彼女は突然此処へ連れてこられた。何の理由もなく、気づいた時には何時の間にやらこの場所へ…でも、何だか知っているような…そんな気がするこの空間。その正体は…バンバン幼稚園、そうこの名前を見たその時、懐かしさを覚えた。ちょっと前まで通う筈だった場所…しかし、それは出来なかった。以前通っていた園児が突然のボールピット崩落事故でそれ以降行方不明になった事件が発生した為だ。「………なんで、こんな場所に……」とミラは散策を続ける。すると、そこで怪しい白衣を身に付けた人物に遭遇した。「やあ、君の事を待っていたよ」と。待っていたとは…?、そう思う彼女、この言動から察するに彼女を此処に連れ込んだのは今彼女の前で喋っている彼という事になるが…。「あの…、此処に呼んだ人?」と唐突にミラはそう質問する。「ああ、そうだ。君には今日から一生を此処で過ごしてもらうよ、大丈夫、しっかりと君の事を見てくれるお友達も此処には沢山いるし、退屈はしない、それは保証するよ」と突然と突きつけられた道…彼の名や、その他諸々気になる事が多い上…此処からはもう出るなとまで言われた。一体何故なのか……、「……此処って、あのバンバン幼稚園………?」とミラは戸惑いながらも少し何だか知っている幼稚園の中とは少しばかり構造や雰囲気が違うような気がする…そう疑問に思った訳だ。「そうだ、まあ厳密に言うと、あれとは別の幼稚園施設さ、此処から少し離れた場所にあの人気のある幼稚園はあるよ」「じゃあ、此処はバンバン幼稚園とは別なの…?」と首を傾げてそう聞いた。「ああ、とは言っても彼方から何体か…保護している…いや、君の前でこの事を話すのはよそう…余計な詮索をされてしまう…じゃあ、君の部屋を作ってあるから今からそこに案内しよう」と何故か言葉を途中で切り、話を逸らすように話題を変えた。そこまでして、彼女に知られたくない事でもあるのだろうか。気持ちはモヤモヤしている中だが、とりあえず案内されるがままに彼女はついていく。数分後、「君が今日から過ごす部屋は此処だ」と研究員らしき男性は白衣にあるポケットから緑のカードキーを出して、使用した。この仕様も元々の幼稚園と同じように思える。たまに職員がカードキーでドアを開閉してるのを見かけた事があり、それで見覚えがあった。「ああ、それと、もし本来の場所…君が知っているあの幼稚園に行きたいなら、案内しよう…話し相手は多い方が得だろう?」研究員らしき男性はそう言った。「…………此処にいる、そのうちに会いにいく」ミラはそもそものまるで誘拐にも近いこの状況に怯えずにはいられなかった。突然連れてこられた挙句、幽閉を仄めかす発言までされて、困惑しないわけがない。でもわざわざそうしてまで、連れてきたのには裏の事情が隠れてるに違いない、幼いながらそう感じた彼女。「そうか、まあどのみち何れは出逢う事になるだろう、それを楽しみにしていると良い…此処の方が快適に過ごせる」と何かと此処にいるであろう何者らと接触させたい…その思惑が既に垣間見える。それから…、一度部屋に帰る為にカードキーを貰い、一息ついてからまた散策をするようにし 休むのだけど、その前に研究員の者からこの幼稚園のマップ、つまり地図を貰い…此処で過ごす為のマニュアルなどに関しては部屋に纏めた資料を置いていると伝えられ、そこからゆっくりと休む。「………はあ…、ママ、心配してるかもな……何でこんな事に……あれ……?」ミラは天井や壁に視線を向けた。そこには無数の監視カメラが設置されており、完全に逃がさないように対策をしてあったのだ。此処に連れてこられたからには決して幼稚園から出るのは許されない。そんな絶望的状況へ強制的に立たされた、現状…。とりあえずは部屋にある資料に目を通しておく事に、「これが…此処のマニュアル……?、こんなの見ても理解できないよ…」とページを捲りながらそうぼやく。マニュアル書と別紙に、こう名が書かれた書類が大量に纏められていた、『ケースレポート』と。「何これ……何か文字が沢山書いてある……これ、何の為の…?」とミラはそう疑問を抱えながらも幼さゆえの好奇心や元々色んな事に興味津々な性格上、気になってしまうのだろう。「……?、ジバニウム…?聞いた事ない名前…、何だろ…」とミラはケースレポートに記載されているケースナンバーやその内容より興味を一目おいたのは【ジバニウム】という名前。これが、この幼稚園の闇の一部に相当すると知るのは未だ、先の話。そもそも、ケースレポートとは何の為にあるのか…それが今の彼女が思っている疑問だ。一先ずは膨大にある資料の中から一部を読み、ある程度の理解は出来た。その後、また再び散策に行こうと渡されたカードキーを使い、園内を見て回る事にした彼女、彼以外では人っこ一人の気配すらなく…それによって何とも不気味な雰囲気が漂っている。幼稚園の筈が、子供もその職員も見当たらない。「此処…幼稚園…だよね、なのに何で小さい子供も…居ない、何だか怖いな……」彼女はそうぼやく。しかも、幼稚園への疑問はそれだけではない…この広大な施設内の面積…普通の幼稚園なら此処まで広くする必要はないのに、部屋も無数にあってその多くがカードキーや施設内専用のドローンを使って部屋に入室する必要がある部屋ばかり。やはり、この幼稚園は …何処かおかしい。暫く歩いていると、何やら広い事務所のような場所に辿りついた。綺麗に整頓されたディスクトップスペースに大きなテレビモニター、そうして小型の監視カメラが数台設置されている。「何これ…、何が見れるのかな」ミラはそっとテレビの電源を入れる為近くに「此処を押すと映像が再生されます」と指示メッセージが書かれた真下のあるボタンを押した。押すと、『バンバン幼稚園へようこそ、これはこの幼稚園の過ごし方と対処方法の音声ガイドです、此処でお過ごし希望の方はこのビデオを必ずご視聴下さい』と前置きが入り、流れ始めた。「この幼稚園では当園ケース達と触れ合い、子供でも退屈はしないでしょう、しかしふれあいの最中に怪我する恐れがありますのでご注意下さい。また、その際の怪我の責任は負えませんのでご了承を。ケースは人間と同じように様々ない性格が存在します………、………………………』と音声ガイドのアナウンスは数分程続き、『……以上の注意点を守って楽しいひと時をお楽しみ下さい』と締めくくり、アナウンスは終わった。見たのは良いもの、此処の幼稚園に何か得体の知れない存在がいる事が確定してしまった…そう思うと、彼女は段々恐怖心が湧いてくる…。でも、此処に幽閉された以上は此処の怪物らしき者、『ケース』と称される化け物にも、向き合わなければならない。「この幼稚園、何がいるっていうの……?」ミラは怖がりながらも、アナウンスを見終わり引き続き散策を再開し…幼稚園内を歩く訳だが奇妙な程に至る場所に設置されている監視カメラ。明らかに台数がおかしい、彼女をずっと監視すると言わんばかりのカメラ、見てまわっていると、この幼稚園のマスコットらしき生物の壁絵がちらほらと見えてきた。「この子達が……この幼稚園のマスコット…?、この名前……全部あのケースレポートって奴に書かれた名前ばかり……、この子達が……実際にこの幼稚園に居るって事……?」ポツリそう思う。まさか、ただの壁絵…それに資料も本当かの確証もまだどのマスコットにも、遭遇した事がない為信じ難く嘘なんじゃ無いかと思っている。だが、それも現実だと感じる瞬間が来るのを彼女は未だ知らない。「………、何だか、怖い雰囲気が全体に広がる感覚…、やっぱり何かいるの……?」とミラは怯えながらも歩みを進める、人影や物音はせず静か…けど、それとは別の気配を彼女は感じ取った。人ではない、【別の何か】の気配を…歩いていると何かがササッと横切る影を見た。その瞬間に違和感を覚え、「あれ……今、何かが此処を通った影が見えたような……何だろ」ミラは気になり、かげが向かっていった方向に追うように行く。そこはまた広々としたフロアが続いており、彼女は謎の影を追いかけて幼稚園内を徘徊する。何回見ても、幼稚園とは思えないほどに駄々広さに疑問と驚きが飛び交う。その影に少しずつ接近していって逃げられないようにそっと、そっとミラは近寄る。彼女が近づいたのに気づき、怖がるようにその影はまた何処かに消えてしまった。「あ、待って…!、……逃げちゃった」ミラは声をかけようとしたが、あっという間に逃げられてしまった…しかし、ミラはある事に気付いた。先程音声ガイドのアナウンスにて、長々と紹介と説明されていた『ケースモンスター』という存在の正体が今まさに追いかけている謎の影の正体なのではないか、そう考え、そうなれば追ってみる価値は十分にある。そこで捕まえられるか分からないが、一か八かでやってみる。とはいえ、先ずはあの消えていった影を捜索しなければならない。「何処に行ったのかな……」とあちこち視線を凝らしながら捜索をして数分後、また何かがササッと歩いていく影に遭遇した。影の大きさ的にさっきから探している何かだと思われる、「怖いけど…でも、ちょっと気になるし…追ってもっと傍に近寄ってみようかな」正体不明の者を探し続け、ようやくその影の正体と対面する瞬間が近づく。「あ、いた…今度こそ逃げないように…そっと掬うようにして…そっと」ミラは謎の生物に接近し、暴れないように静かに抱き抱えた。そうして、追っていた影の正体が明らかに……。「わあー!、可愛い、もうしかして子猫…?、でも何だか特殊な色…かも」とミラが言うと、子猫型の生物は口を開き、「そうだよ、私はだって普通じゃないもん」と言葉を喋った。その事に大きな衝撃を受け、暫くは口がぽかんとし……子猫の姿をしたマスコットモンスターはミラに対して大丈夫?って言いたそうな雰囲気でこちらを見てくる。「え、えっと…、君は……?、て、て言うか言葉話せるの……?」ミラは動揺を隠せず、内心驚きながら、でも冷静さを保ちつつ、目の前にいるマスコットモンスターに質問した。「うん、話せるよ、だって私は動物ゲノムで構成されて作られたから」「ゲ、ゲノム…?、どう言う事?」とミラが話していると、偶々あの男性研究員とばったり会い、彼はこうミラに話した。「驚いたかい?、彼女はこの幼稚園のマスコットの一体さ、ケースナンバー001、我々が最初に作り出した実験の産物の第一号…名はハピープティ」と目の前の研究員は淡々と説明をする一方で、ミラは理解が追いついておらず、終始『え…?』というような反応を向けた。「ちょうど良い、君に彼女を含めた我々が作ったジバニウムモンスターの世話をしてほしい、数体程問題児がいるが、そいつらは良い幼い君にはあまりにも危険過ぎるからね」と突然のお願いをされ、それにも思わず困惑状態。「せ、世話っていきなり言われても…」と当然の反応。「大丈夫、そんなに難しい事ではない…君なら出来るだろう、それにもう分かっているだろうが、彼女は君と同様の言葉を話せてコミニュケーションを人間と同じように自在に取れるし、だから意思疎通も可能だ、だから言っただろう?退屈はしない事は保証出来る…と……」研究員は彼女にそう話した。確かに彼は宣言していた、退屈にはならない事は保証すると、でも説明されたあの瞬間の状況ではまだこのジバニウムモンスター、『ハピープティ』にも遭遇していなく、完全に半信半疑な気持ちだった為、実際に出会した+しかもまさかの普通に人語を話せているという現実が存在するなど簡単には受け入れ難いのが正直な今のミラの心境だ。「分かりました…やってみます」「そんなに執拗に怯える必要はない、彼女は我々が編み出したケースモンスターの中でも、知能もよく懐きさえすれば普通の子猫と同じで可愛いものだよ」と研究員は話した。「それで、世話って具体的には何をすれば良いの?」「ペットと同じように餌、散歩、ジパニウム検査などをしてくれれば良い、あと数回ケースレポートの情報更新の為に実験も行っている、君はその補助を頼む事になるだろう、まあ説明はこんなものだ、世話の仕方はケースレポートと同じところに同封していたと思うから後で見返しておいてくれ、じゃあ今日から早速頼むよ」彼はそう言って何処かへ行った。「??、行こう」ハピープティはミラは気にかけるようにテコテコ歩いて歩み寄った。「う、うん…じゃあ行こうか」とミラはハピープティにそっと手を広げ、「おいで、抱っこするから」と優しく声をかけた。と、子猫だから甘える事が好きなのか…それともミラが自分に対して敵対意識がない事が分かった為か、すんなり腕の中へ。そうして、ミラはハピープティと共に一度案内されたあの部屋へ戻る…長い長い道を戻りながら…そして、無事到着してミラは忘れずに持っていたカードキーで開ける。「さ、入って」とミラはハピープティを抱っこから下ろした。ミラはすぐにハピープティの世話のやり方を確認した。そこまで、手間のかかる事はなさそうな内容だった、世話についてはこう記載されていた。【このケースの世話の方法。彼女は知能が長けており人間の子供同様に躾けをしっかりすれば懐いてくれます、食事の際は彼女はジバニウム生物なので、ジバニウム使用の餌を与えるようにして下さい。ジバニウムが不足してしまうと彼女は体調不良になります、また飲み物も人間、若しくは普通の動物と同じように摂取出来ますがこれにもジバニウムを少々垂らしてから飲ませるようにして下さい。彼女は水場がまだ苦手でお風呂に入れません、ので浴槽ではなく、小型サイズのビニールプールに入れて、出来るだけ優しく洗って下さい。強くしてしまうと、ジバニウムの皮膚が荒れる危険性があります。彼女は遊ぶ事も甘える事も大好きな子です、彼女のおねだりは良く聞いてあげて下さい、彼女は懐くと幸せエネルギーを貴女に浴びせ、幸せにしてくれます。彼女の世話の方法とやり方は以上です】と。「ジバニウムがある以外は……案外普通のペットと過ごす時と変わらないのかな、あ…そうだ、あとは……」とミラはふと気になってとある物に手を伸ばす。それはこの幼稚園の地図だ。ここは色々と異常だらけで普通じゃない。その証拠に………、「え、此処って…」とミラは思わず声を失った。【幼稚園】というのに何故かこの下。つまり、今ミラがいる場所の下にずっと続くように地下層があるという事実…となれば、この地下層にも今日出会ったハピープティのようなジバニウム生物が数多く存在している…そうとも推測できる。「びっくりした?此処、幼稚園って言っても、私達のようなジバニウムモンスターを作る為だと思う…無駄に広いの、ジバニウム缶見た事ある?凄く多いよ」ハピープティはそうポツリと話した。ジバニウム缶…?とは何なのか、そもそもジバニウム自体がどのような物なのか実物を見た事がまだ無い。ハピープティと話していると、彼女の事を深く知る為にミラはケースレポートを確認した。彼女のケースレポートは今手元にあるのは三枚程で、それぞれ彼女の実験についての経過報告がされており彼女は比較的スムーズに実験やテストが上手くいった例だと記されていた。「ハピープティは…子猫とヒト、そしてジバニウムか…、だから言葉を話せるって訳だね」とミラはケースレポート第一弾の報告書を見つめながらハピープティにそっと視線を向けた。知能が長けているのも、子供のゲノムを使用しており、だからこそその一方でモンスターになっても尚、甘えたい気持ちがあるのだろうか。と、それを知り途端にミラはハピープティが可愛く思え、子猫にするようにそっとハピープティを撫でた。彼女は未だミラと出会って間もない為まだ懐いて居ない、だから触られたくないと感じたのか、ミラの手を尻尾でプイっと振り払った。「まだ慣れてくれないか…」とミラはハピープティを見つめる。と、ミラは他のケースモンスターについてケースレポートを見ておく事に、見たところによると、まだまだ多くのモンスターがいる事…そしてその中にはハピープティのように言葉を話せるモンスター、つまりヒトゲノムが入っているモンスターがいる事になる。ケースレポートの内容は基本的にそのケースの実験経過、過程についての報告が多数書かれている…上記している通りだ。それに、最も重要な事…ジバニウムという物質についても気になるばかりだ。だって、彼女らケースモンスターは全てジバニウムと、動物ゲノム、そうしてもう一つ…、「何これ、ピュアジバニウム…?動物ゲノムとは違うのかな?」彼女はそう思いながらジバニウムのみで構成されたケースモンスターを調べるが、今のところそのようなケースは作られてなかった、ジバニウムで生成されたモンスターには種類があるようだ。「私も見た事ないかも、殆ど動物ゲノムだった気がする」とハピープティはテコテコ近寄ってきた。「そうなんだ、って事は未だやっぱりピュアジバニウムの生物はまだ作られてないのかな……、………」ミラは途中で言葉をやめた。ケースレポートを改めて読んで気付いた事が一つあったからだ。そう、それは……全てのケースにおいて最初の過程でジバニウムによる痛みに悶絶している…それはハピープティも同じだった。と、ハピープティはミラに寄り付き、「ミラ……ミラも、こうならないと良いね…」とポツリとぼやいた。意味深な言葉…これは一体何を伝えたいのか、ミラはこの時良く理解出来なかった。でも、それも何れ理解するようになる日が必ずやってくる…、彼女はハピープティの世話の手順を見直し、少しずつ世話の作業もやり始める。彼女は以前の話にはなるけれど、ペットを飼っていた為、粗方動物に対しての接し方など分かっているが、でもミラが今世話しようとしているのは未知のモンスターマスコット。普通のやり方では駄目なのだ、未知の生物モンスターだからこそ、慎重になる事が大切だ、ミラは世話やジバニウム生物について見ているとハピープティは「そう言えば、ミラは此処に迷い込んだの?、それとも、連れてこられたの…?」とミラに尋ねる。彼女は此処には連れてこられたのだと答えると同時に、何でこんな質問をいきなり?と逆に聞いてみるとこの幼稚園はかつて普通に運営されていたが、あの事故以来閉園していると…。だから当然子供を見る事も無くなったマスコットモンスター…、しかしもう幼稚園として機能していないのに関わらず、だからこそ、このタイミングでのミラの来訪に驚いた。「私は……連れてこられたの、いきなり、寝てたら急に襲われて…目を覚ましたら此処にいて…」ミラはハピープティに事情を告げた。「何でなのか、良く今も理解できない…何か特別な事情があるのかってずっと今も考えてるんだけど、分からないよ…」とミラはしょぼんとして下を向く。彼女にとってはもう何から何まで訳が分からない。何故連れてこられたのか、その理由は何なのか…全て分からない。「私も、同じ」ハピープティはふとぼやいた。「え…?」「私も、此処に複数いるジバニウムモンスターのうち、数体は元々…ミラみたいに普通の人間だったんだから」と言い放ったのだ。その言葉にミラは戸惑った、彼女が……元々人間…?え、と戸惑いは止まらない。でも確かに彼女、ハピープティのケースレポートには使用ゲノムの一つにヒト、とあったから、そこまで怖がる程ではない。そうして、ミラはハピープティとコミニュケーションを取り続け、ちょっとずつ親睦を深める行動に出始めた。「ふふっ、でもやっぱり可愛く思えてきちゃうな…まだ撫でられるのは嫌…?」とミラはハピープティに言うと、彼女は片手をふいっと出してきた。その仕草から、「触るのは許してくれるの…?」とミラはハピープティに聞く。すると、ハピープティはコクっと頷いた、コミニュケーションをちょくちょく取っていたから、警戒心が和んできたのかもしれない。ハピープティとちょっとだけ打ち解けることが出来た、また特に人間を警戒する事なく、ミラに対して懐きつつあるように思える。こうして、時間は過ぎ、部屋に飾ってある変わった形をした時計があったので、現在の時刻を確かめて見る。確認して、どうやら、色々しているうちに夕方近くになったようだ。「もうそろそろ、ご飯を与える時間になってきた…えっと、この子の食べるものってどこにあるんだろ」とミラは付近にあるダンボール箱や大きめの籠を探す。あった。ケース001専用の餌と銘打たれた箱があった。そこにはサラダのようなものや、生肉、魚など多岐に渡る種類の餌が包装パックに詰められていた、恐らくこれに説明書きであってようにジパニウム液を数滴垂らして馴染ませて、食べさせると言う事だろう。それが分かれば後は準備に取り掛かるだけ。「はい、出来たよ」とミラはハピープティに餌をそっと渡した、するとハピープティはパクパクと手掴みで頬張った。ジバニウム生物なだけあってジバニウムで味付けされてる方が餌にありつけやすいみたいだ。「美味しい…!」とハピープティは嬉しそうな声で話した。どうやら、大好物の物だったようでこの喜びようを見ていると、ゲノム素材の子猫の部分が色濃く残ってる、そう見ていて感じる。餌を食べ終わった後は水分を与える。勿論、それにもジバニウム液を含ませて与えなければならない。食事を与え終わり、次の世話はお風呂だ。彼女は子猫…という事もあって水が苦手のようで浴槽には入れられない。その為小さい子供が入るようなビニールプールにジバニウムを溶かした水を入れ込み、それで体を馴染ませる事に。「そういえば、もう私に慣れたのかな…警戒してないように見える」彼女は囁きながらそう思う。もう、慣れてきてるのかな…?、ハピープティはこのタイプの水場なら平気みたいで、案外ゆったりして楽しんでいる。ジバニウムモンスターという割にはそこまで彼女からは恐怖さを感じないどころか、ミラはハピープティを可愛がってきている、モンスター特有の不気味さも恐ろしさもあまり感じられない事が一番の要因だと考えられるが…。それから…食事も入浴も終わって、後は就寝前のジバニウムチェックのみ、「じゃあ、ちょっとチクって刺すよ」とミラはケースモンスターの管理用セットという名目が印刷された封筒から、シリンジと濃度検査機という機器を使ってチェックする。ミラはこういった医療的行為は全くの未経験で不慣れながらも、とにかくあの研究員に言われた通りの世話をこなす。それにしても、まだ子供であるミラにこのような世話をして欲しいと頼んだのにはどんな理由があるのだろうか。接し方を掴んできたとはいえど、そこだけが全く見当がつかない。「…………」つい考え事をして動作が遅くなったミラにハピープティは気にかけるように首を傾げ、手でツンツンと彼女の片腕に触れた。「大丈夫…?」ハピープティは彼女を気にかけ、そっと彼女の足首に駆け寄る。「あ、う、うん…大丈夫だよ」ミラはそう返事する。とりあえず、検査をして…検査結果は異常なし。ジバニウムモンスターにとって体内のあるジバニウムは人間で言うと、血管や血液の役割を担っている。その為にこの検査は欠かせない作業という訳だ。「よし、これでオッケーだね、後は……寝るだけかな」とミラは一息ついて、そろそろ寝ようとハピープティをまず寝床に連れて行き、そこからやっと今日を終えられるが、その時ドンドンッ、ドンドンっと大きな地鳴りが鳴り響く。いきなりだった為、ミラは地震でも起きたのではと慌てる一方でこの突然の地鳴りの正体を知っているのか、慌てる様子もなく冷静にポツンといるハピープティ。地面の揺れは収まり、とこの部屋の前に何か影が写っていたので、何だろうと興味本位で近づくミラ、「多分あの子だと思う、会って見なよ」とハピープティは完全に見知った相手のようで、彼女に促す。こう言っているという事は少なからず、今すぐそこにいるであろう『何か』は敵ではない…そういう事を意味するのだろうか。「じ、じゃあ…会ってみる」とミラハピープティ以外のジバニウムモンスターに巡り合う初の瞬間に立ち会う…ミラは胸を躍らせつつも、攻撃的なのか、それともハピープティのように警戒心はあるものの、懐きやすいのか…襲われたらどうしようなど、不安を多く湧き上がってくる。そうして恐る恐る、カードキーを使って目の前の厳重なドアを開ける、目の前にいたジバニウムモンスターの正体は………黄色くとても大きな巨体な生物だった。そのジバニウムモンスターはミラを見ると大きな体をそっと彼女に近づけ、上から見下ろす謎のモンスター。「何これ……デカい……」ミラは思わず言葉を失う。それ程大きな巨体のモンスターが目の前にいるという現実、このジバニウムモンスターは一体何なのか、「えっと、君は…?」とミラはあまりにも巨体のモンスターを前にしているので、少し引き攣る。巨体のジバニウムモンスターはミラに再度接近し、「ウウー?、ウウウー!」と鳴き声をあげた。この感じ、このジバニウムモンスターはハピープティのようには言葉でコミニュケーションを取る事は出来ないようだ。と、なると…ミラはこのジバニウムモンスターは何なのかをケースレポートから探し出す。あった、「これだね、えっと…君はビュニスって言うんだね」とミラはビュニスの方を見つめる。ケースレポートの情報によると、彼はケースナンバー006。ゲノム素材はチーター、ジバニウムのみでヒトゲノムは入っていない。「でも、何でこんなところに?」とミラは呼びかける。ビュニスはヒュイっと首を傾げ、あまり言葉が伝わってないのだろうか、ヒトゲノムが入ってない事を踏まえるとあまり知能もそこまで発達していないのかもしれない。「彼は気まぐれだから、偶々此処に辿り着いたんじゃないかな」とハピープティはそう話した。「そうなんだ、でもどうしよう…此処に入れても大丈夫なのかな、一応まだこの奥になんか部屋があるから、そこが使えそうだけど…この子…入るかな…」とミラはもう一つあるという部屋を横目に見ながら悩む。まあ、最初のあの指示もハピープティだけを管理してくれと言われた訳ではない、だから彼も入れるのも有りな話だが、問題はこの一室にビュニスが収まり切れるかどうか…、そこが懸念点だ。「大丈夫なんじゃない?、此処、普通の幼稚園じゃないから」とハピープティはそう提案した。確かにそうなのかもしれない、此処は幼稚園の割に敷地が大きすぎるし、そもそも、もし実験など行う者達が此処を経営しているのなら、あり得る話だが、実験体を此処に保管する為に仮に作ったとするなら無駄に広いのにも頷けるだろう。ミラはハピープティの言葉を信じ、ビュニスを部屋の中へ入れ込む。「うわあー、近くになると余計に巨大に見える」とミラは下からビュニスを見上げるようにみる。巨体なのは外に見えた影からも薄々思ってはいたが、まさかこんなに大きいなんて……そう思ったのか圧倒され、言葉もうまく出ない。「この子、怒らせたりしなければ、案外可愛いよ、彼は自分が気に入られてるって感じるとすっごく甘えてくる時があるの」とハピープティは彼について色々詳細にミラに教える。とりあえずは彼にも軽くジバニウム濃度検査を行い、もう段々と夜も遅くなってきてる頃だろうと、彼女は思い、今日は二体に囲まれながらミラは夜を過ごすことにした。ハピープティもビュニスも大人しく、何だかミラに寄り添っている…そう思えてしまう程に傍ですやすやと眠る。そうして、また朝がやってくる。「ん………もう、朝?」とミラは壁に設置してある時計を確認した、現在時刻は七時…、とミラは起き上がり、ハピープティ達も起きた為朝の検査チェックをする。で、検査をした後はハピープティとビュニスに其々専用の餌も分け与える。後は…比較的のんびりできる時間が沢山ある。「ウウウ、ウウッ」とビュニスは声を上げ、少し見下ろすようにミラを見つめる。「ウウウ、ウウ!」とビュニスは何だか嬉しそうにしているのは分かるが、肝心の何を伝えたいのかが彼は言葉を話せないから分からない。そこで、ハピープティに、「ねえ、ハピープティ。ビュニスが何を伝えようとしてるのか通訳してくれない?」とミラは彼女に頼る事に、彼女なら同じジバニウム生物という事もあって関わりがあり、ある程度の関係値がある彼女ならビュニスが何をミラに伝えようとしているのか、理解できるんじゃないか。そう考えた訳だ。「うん!、任せて!彼が言いたい事は大体理解できるから」とハピープティはやる気十分。そうして、ハピープティは彼に近寄り、すると話しかけ始めた。「ウウ、ウウウ!」「うんうん…うん」ハピープティとビュニスは何やら会話は確り取れているのかは分からないが、二体の様子を見る限りでは意思疎通は少なからずできているようで、少し会話を終え、ハピープティはミラに彼がなんて言ったかを伝えた。「なんか、ビュニスもミラと話してみたいんだって。彼、子供に対して興味津々だから」と伝えた。「そ、そっか。子供が好きなんだ…でも、子供って言っても多分私みたいな人間の子供…のことではないよね」とミラは恐る恐る聞いた。「ううん、人間の子供であっても自分に危害を加えない者だったら大丈夫だよ、怒らせたりしなければいい子だから」とハピープティは話した。さて、ある程度彼女のやることは終わったが…まだ時間はあり、そこでまたまたハピープティからの提案で、この広大な施設内の探索…更には地下層に向かう事も予定に入れる事に。彼女自身も遭遇前ちょろっとだけ園内を見て回ったものの、それはほんの一部分でしかない。ので、この機会にこのバンバン幼稚園の探索をもっとしておこうとの事。どのみち、もうミラは此処に招かれてしまった以上はそろそろ腹を括らなけばならない。「此処、やっぱり普通じゃないのかもね」とミラはキョロキョロ周囲を見渡しながら、そう話した。そう、ただの幼稚園ではない…まあそれはジバニウムモンスターが此処に混在している時点で明白だったではあるが、そもそもの話普通の幼稚園に【ジバニウム】という幼稚園には相応しくない物質の名前が存在している事自体も、様々な点で疑問点が延々と湧いてくる。普通の幼稚園という用途だけなのならば此処まで広大である必要もない。それに、ケースレポートなる実験報告書もその異常さを際立たせている要因の一つでもある。「この幼稚園から出るなっては言われたけど、勝手に行動していいのかな」今更ながら、そう思ってしまったミラ。「大丈夫だよ、だって研究員の人間はそこからいつもミラの事を見てると思うから」とハピープティはとある方向に指を指した。それは無数に張り巡らされている監視カメラだった、彼女が通る道全てに気味が悪いくらいに配置されてる。彼女を四六時中監視するのが恐らくこのカメラの役目、もう逃げられない…そうあらゆる方向から脅迫し、外に逃さないという企みが垣間見えた瞬間だった。「ねえ、そういえば此処の地下層に降りようって思ったらどうすれば良いの?」とミラはハピープティに尋ねる。と実は付いてきていたビュニスが大きな地響きを立てながら、走っていった。恐らく、何かをとってきてくる…そういう事なのか…?。ビュニスを信じ、暫く待っているととある物が描かれた一枚の紙、これは…何なのか。何だか、リフトのようなものに見えるが…。「これは……何?」とミラはハピープティにこの物体が何かについて質問。ハピープティは紙を受け取りすぐさま答えた、「ああ、これはエレベーターだよ、このエレベーターを使って地下層に降りていくの」とハピープティはそう言ってミラに教える。「エ、エレベーターなの…?、これ……」とイラストだから余計に想像がつきにくいのだろう。これは実際にこの目で確かめてみたいと思い、このエレベーターがある場所まで早速行ってみようとした、その時だった。何かがこちらに向かっている足音が聞こえてきた。タタタッっと駆け足のような感覚のリズムで向かってきてる、「なっ、何かまた来てる……?」とミラは未知のジバニウムモンスターに心の底では興味津々だが…でもその一方で恐怖心も入り混じっている。
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