幼稚園に迷い込んだ少女 チャプター①

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幼稚園に迷い込んだ少女 チャプター①

近づいてきたジバニウムモンスターは…………。「わあー、何この子も可愛い……」とミラは何の躊躇もなく未知のジバニウムモンスターを抱える。「わわ、びっくりした…」と言葉を発した。その事に少々驚きながら、「え!?、君も喋れるの…?」ミラは尋ねる。「そ、そうだよ」と相手も戸惑っている。ハピープティは案外ハキハキとしているが、それに対しこのモンスターはそうでもないようだ。「あ、セノアドル!何でこっちに?」とハピープティは駆け寄る。どうやら、このジバニウムモンスターはセノアドルというらしい、ミラはこっそり持参していたケースレポートを捲り、セノアドルのケースレポートデータを確認する。彼女はセノアドル、性別はハピープティ同様メス。ケースナンバーはケース002。ハピープティがケース001に対し、セノアドルがケース002という事は順番的に彼女はハピープティの後に作られたのが分かる。セノアドルのゲノム素材はリス、ヒト、ジバニウムの三つでなっている。ミラは彼女が言葉を話せることに対して、多少は驚いたものの、ハピープティが言葉を話している前例を見た為あまり驚かなかった。「ハピープティ、これから地下層にでも行くの?」セノアドルはハピープティに尋ねた。そこで、ハピープティはセノアドルにミラの事やその為ミラに幼稚園内を案内していると説明した。「何だ、そういう事か…でも本当に地下層に行くの?」「え…?、どういう事…?」とセノアドルとミラは疑問系な言葉を交わし合う。この言葉…何を意味するのか…、まあこの幼稚園にいるモンスター達が全てハピープティのように友好的な生物だと一概に断定しづらいのは間違いない。「地下層にはこの層に居ないぐらいに凶暴なモンスター達が沢山いるよ、人間なら容易に行かない方がいいよ」とセノアドルは地下層に行く事にどうも否定的のようだ。「大丈夫、だってこの子も一緒に連れて行くつもりだから」とハピープティはセノアドルにそう説明した。「ま、まあそれなら………うう〜〜、私も行く!」セノアドルはハピープティに抱きついた。彼女ら二人は誕生順が一番近いため、仲が良く、実はケースレポートにて彼女ら二人は大体の時間を二人で過ごしており、それを証拠付けるようにセノアドルの座右の銘にそれらしい言葉もある。【寂しい時は一緒にいる仲間を作ろう、後は無邪気さも忘れずにね】とセノアドルの一緒にいる仲間……というのは初期から一緒に過ごしているモンスター、ハピープティの事を指しているのかもしれない。「じゃあ、一緒に行こ!」とハピーはセノアドルと手を繋ぎ、それからミラ、ビュニスを乗せ、降りる訳なんだけど、此処にも対応するカードキーが必要のようだ。カードキーは…どうやら青色のカードキーが必要のようだ。地下層に降りるにはこのリフト型のエレベーターしか無い為このエレベーターを稼働させる用のカードキー探しをする事に。「まさか、部屋だけじゃなくてこういう機械を動かすにも必要だとは思わなかった……」とミラはふうっと息をつく。「まあ、此処無駄にセキュリティ面はしっかりしてるからね」ハピープティはカードキーを探しながら、ミラと会話を成立させる。それから……色んな部屋を巡り、謎解きも協力しつつ…求めているカードキーを探す。「結構歩いて色々ギミックみたいなやつ解いてるけど……見つからないなあー」と途方に暮れていると、ようやく見つけた。探し求めた青色のカードキーだ、とりあえずこれであのエレベーターを稼働させられる。と、長い長い道路を戻り、エレベーターへ向かい、早速地下層へ降りる事に…、「これ…途中で止まったりしないよね…?それに壊れないか心配になってきたんだけど……」とミラはそう思った。エレベーターとはいえ…このエレベーターは安全性があるとは思えない程にかけ離れていて、落ちたりでもすれば大怪我は回避できないような設計に思える設備の為に不安を煽られる。「誰か急に襲って来ない限り壊れる事はないと思うよ」「うん、多分大丈夫だと思う」とハピープティとセノアドルから安心感を与えられたものの、この幼稚園は何かと普通じゃないから不安しかない…、とエレベーターは地下層の一階層目につき、一旦停止した。そこで、彼女はエレベーターから降り…また探索へ。雰囲気は地上と何ら変わらないようにも思えるが、でも何処か一味違うようにも見える。ぶらり探索していると、地上階にはなかったとある図面があった。「何これ……セプター?」とミラは図面を見る。どうやら、この階は各セプターに分かれており、インテジェンスセプター、ワイルドセプター、サイレンスセプターの三つで一つのセプターが構成されており、其々のセプターに向かう道も枝分かれしている。「此処、またしても広そう……それに此処は一つに纏められてる感じじゃないから……興味は湧いてるけど、迷子になっちゃいそうで怖い…」とミラは再び不安になる。此処はまだまだ未知の空間が多く存在するのは紛れもない事実。それに加え、そこに潜んでいるであろうまだ見ぬジバニウムモンスターの数々にも、好奇心も湧くが同時に不安と恐怖心も心に残る。「大丈夫だと良いけど…とりあえず進んでみようか」とミラはハピープティを前に抱き抱え、右に左に視線を向けながら先へ進む。此処にも、この幼稚園のモンスター達が描かれた壁画があってそこを見る。一見地上階で見たモンスターメンバーとあまり変わらないように感じたが、よーく見てみると、地上階に描かれていなかったモンスターも混じっていた。「何この子達、見た事ないかも…この子達がこのセプター?にいるのかな」とミラは壁画をじっと眺めた。「ちょっとこの子達怖いかも…、襲ってくるのかな」とミラは絶え間なく恐怖心はずっと拭えずにいる。例えマスコットという接しやすい存在であっても、油断大敵‥その事だけは忘れてはならない。「とりあえず、もう少し進んでみようよ」とハピープティはミラの背中を押してハピープティらは進んでゆく。景色は何処もかしこも似たような景色…でも、進んで居るのは実感できる。「この幼稚園…何処まで広いの……進んでも道が出てくるよ」とミラはちょっと歩き疲れてきて、ヘトヘトようだ。「まあミラもまだ幼い子供だもん、疲れやすい性質だから仕方ない、じゃあ休もうか、私休憩スペースの場所知ってるから案内するよ」とセノアドルは歩き疲れたミラを気遣い、休憩スペースという場所に行き探索は一旦休む事に。と、暫く向かっていると緑色の看板でリフレッシュスペースという場所に着き、セノアドルによれば此処が休憩スペースだそうで、広い座れる場所があったので、そこでふうっと一息つく。と、休んで居るととあるブースに目が行き、そこにには…小型の機械のような物が置いてあった。ミラはそれが気になって仕方ない為足は大分疲れているが、近くに寄ってみる。これは……一体何なのか…。「何これ…子供用の玩具なのかな」とミラは目の前にポツリと置いてある玩具のような機械をじっと眺めた。「これ何なんだろ……こんなの見た事ない」とミラはかなりの至近距離で更に眺めるも、このような機械は見た事がないらしい。それもそうだ、これはこの幼稚園でしか使用が認められていない専用用具なのだから。何でそう言えるのか…彼女はその機械の近くに添えてあった一枚の紙切れを手に取って、そこに目を向けた。「あ………これ、ドローンなんだ」と。この機械の正体が判明した。どうやら、これはドローンのようで、その近くにドローンで押す用の赤いボタンがあって、そこでドローンを動かしてそのボタンを押す訳なのだが、いかんせん操作方法が全く分からない。この機械はどうやって操作するのだろうか…と、立ち止まっていると、ドローン操作の為のマニュアルと描かれた紙があった。あまりにも偶然且つ好都合な場所に説明書きやヒントが散らばりすぎて何処か腑に落ちないと言いたそうなミラだが、操作が分かってとりあえずは一安心。と言いたい所だが、此処でドローンなる物が出てきてという事は…もうお分かりだろう。この先に進むにはこのドローンが必要になる事があるという事だ。そこで、試しにドローンを使って目の先にある赤いボタンを押してみる。操作方法は案外簡単だった、まずある程度の場所にドローンを呼び、そこから狙いたい方向へドローンに指示を飛ばす。上手くドローンと狙ってる場所に合えばその赤いボタンは反応する。とはいえ、此処はまだドローンの操作入門の為の仕掛けに過ぎない、この先の仕掛けはきっと意地悪になる。「よし、これで最後っ………と」最後のボタンの仕掛けを解き、すると左方向にある一つのドアが開く。此処の仕掛けは他の部屋を開ける為のものだったらしい。とにかく、まだ見ぬエリアへ……と、思ったが、ドローンに気を取られすぎて休憩スペースで一息つく事を忘れていた。ので、暫しの休憩の為先程のエリアへ戻る。「結構移動したね…疲れた…」とミラは言った。と、ボッーとしていると、ハピープティが彼女にハグするように近寄った。と、ハグをされた途端に不思議と幸せな気持ちが沸々と湧いてき始めた。さっきまでの疲れが嘘のように彼女の身体から抜けていく……「何だか不思議と……幸福感に包まれていく感じが…する」とミラはそっと胸に当て、そう感じた。そう、彼女には触れた対象者へ幸福にさせるエネルギーを分泌する能力があり、言うなれば彼女ハピープティは幸福を呼ぶ子猫なのだ。「プティ、もうその子に懐いたんだね、懐かないとその行動は示さないから」セノアドルはそう話した。「まあ、ちょっとね。まだ……慣れてないけど…でも悪い感じは感じ取れないから少し安心してはいる」ハピープティはそうぼやいた。「へえー、そうなんだ…じゃあ異例の現象だね、これまでのプティのケースレポートの結果では慣れたりしないと能力発揮しないって話じゃなかっけ…?」とセノアドルはポカーンとする。「あ……言われてみると……うー、何でだろ…」とハピープティ自身も今思い返せばハピープティのケースレポートにも、懐くのが癒しのエネルギーを分泌する最低限の条件と記述されていて今まさにこの現象はほんとに異例の事態である事が分かる。もしかすると、実際はそこまで懐き度合いは特に関係なく、彼女が対象者に対して仲間意識さえ持ってくれてれば良いという新たな可能性が出てきた。「あのケースレポートと事象?が違う時があるんだね」とミラはふとそう思った。これが分かるまではあのケースレポートという資料のみが正式な情報データだと思っていた為に驚く。「そうだね、自分でも知らなかった」とハピープティはそう溢す。そうして、暫くの休憩を終え…再び探索に出向く為に立ち上がり、今度はせっかくなのでビュニスの背中に乗せてもらって探索をすることに、まだ幼い子供の為歩き疲れやすい…そこで、ちょっと気楽な方法を選んだミラ。「わあー、ビュニスの背中に乗るとこんなに視点が高く見える!!楽しいかも…!」とミラは思わずな発見に感激し、ほんとに幼い子供という事を思わせる程に興奮している。「大丈夫かなー」とセノアドルは心配そうな言葉をぽつり溢す。その言葉が聞こえ、ミラは後ろに座っている彼女に、「セノアドル、どうしたの?」と聞いてみた。「いや、ちょっとこの子…そもそものゲノム素材にチーターがあったと思うんだけど、その通りこの子…ほんとに急に俊足になり出すからさ、ミラ…その勢いで落とされないかなってそれが心配になったの」と彼女から返ってきた言葉はミラの事を心配した上の言葉だった。彼女もまたハピープティと同様にゲノム素材のあるヒトゲノムは実は子供で幼さや幼稚さはある意味でミラと何処か通ずる物がある。「大丈夫なんじゃないかな、ビュニスもその辺は十分に理解していると思うし、ヒトゲノムが使用されてない分、私達より知能的な能力は低いけど……でも言葉は理解できる良い子だし」とハピープティはセノアドルをそう言って安心させた。確かにそうかもしれない、言われてみれば彼は言語の理解能力が全くない訳ではない、その証拠にビュニスはハピープティらの言葉も理解できている。だから多少なりとも思考能力はあるという事になる為、恐らくにはなるがそこまで余計な心配はいらないだろう。それから……ビュニスの背中に揺られ、気づけばかなりの道を進んでいた。「此処も…広そう」とミラは周囲に目を回しつつ、探索を続け、進めば見えるのは見知らぬ景色ばかり…そうして、探索しながら謎解きもこなしていき、このエリアの更に最深部へ足を踏み出していく。「何か…いそうなのに、他のジバニウムモンスターに全然会わないね」とミラは不思議とそう思うようになった、怖いのには変わりはないが…何処か自然とジバニウムモンスターに会いたい…その気持ちが生じ始めるという不思議な感情がまさに渦巻いている。しかし、求めすぎるのはかなり危険な判断だ。何故なら地上層に居たジバニウムモンスターは安全性がケース実験において確りと認証された上で管理しているモンスターが多いが、それ以外…つまり此処よりもっと地下奥深くにいるモンスターは安全性が保証されない…という意味を表しているのではないのだろうか…此処にきて、セノアドルが最初地下層のミラ達が降りるのか…?と疑問を抱き拒絶をしていた理由が分かったかもしれない。そうして、その事実は現実となってミラに突きつけてくる。「皆んな必ず味方じゃないって事かそんな事を考えちゃうと怖いよ」とミラは終始恐怖心に心を囚われ、もうこの幼稚園から出る事が叶わないと知って居ても、何処か恐怖心を忘れられずにいる……もうどうすればいいのか。また歩みを進めていくと突然暗闇の中から複数の声がミラ達も方へ響き渡ってきた。その声は明らかに獰猛で、こちらの味方とは思えない声が延々と響く。「何、何…また誰かいるの…?」とミラは怖がり、ビュニスに戻るように指示しようと声をかけるが、その一方でセノアドルは「此処まできたんだから、覚悟して少しまだ進んでみようよ、いざとなったら私達やビュニスが何とかするから」とそう話した。確かにそもそも探索しにわざわざこの地下層エリアに降りたのだから、中途半端に探索するのは少々勿体ないような気もするが。でもやっぱり何処か恐れてしまってとても複雑な心境に今の彼女はいる。「此処に未だ見た事ないジバニウムモンスターが保管されてるのかな」とミラは怖がりながらも、ちょっとずつ歩みを進め、明らかに雰囲気がこれまで通ってきた道とは違い危険な香りも立ち込めてくる。ハピープティらが話していた事で、やけにどうしても気になるのが…私たちが何とかするからという言葉。それ程にこの先に潜むジバニウムモンスターは人間に対して否定的で強い敵対心を持っているのか…?。「あ、見えてきた…此処からは慎重に振舞って行った方がいいよ、彼らを怒らせたり機嫌を損ねちゃうと、ミラの命がないって思った方がいいよ」とセノアドルはそう突然ミラに警告をし出した、地下層に降りた時点で危険である事は承知していたが、遂にジバニウムモンスター直々にその警告を聞く羽目になるとは。
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