黒に包まれた再会(2)

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黒に包まれた再会(2)

若い男「久しぶりだね、ロジーナ。……来ると思っていたよ」 ロジーナ、と呼ばれた娘は唇を震わせながら、返した。 「……エ、エドワード……!?……ぇ、え?…ど、どどうして……せ先輩、がぁ……!??」 エドワード、と呼ばれた若い男「んーーー…僕と違って、真面目な君のことだから、きっと…この国をくまなくまわって、魔法の修行をしてたんだろう?」 ロジーナ「………。え、ええ…それは…そうなん、だけど……」 「ふふふふふ……僕と君が魔法で戦ったことはなかったね〜」 エドワードが笑うと、目を丸くしたままのロジーナが言った。 「せ……先輩が……この国の…ウィザード、だったんですかぁっ!?」 エドワード「ああ……。実の母を倒して僕はそれになったんだよ」 ロジーナ「……し、知らなかった……あたし、なにも……なにも…」 エドワード「……これまでの挑戦者は四天王の誰かにやられちゃって、僕のところまでは来なかった。四天王が全員負けましたと、僕が呼び出されることはなかったんだ。…ここの四天王は、ゲートキーパーって呼ばれている。……四つの門をくぐって来ただろう?君が倒した四天王たちは、言い換えれば…第一のゲートキーパー、第二のゲートキーパー、第三のゲートキーパー、第四のゲートキーパー。そして……ここにも門がある。これをくぐったら、君は新しいウィザードってことになる」 「…………」 背後の門を親指でさす相手を見たまま、ロジーナは黙った。 エドワード「僕が最後のゲートキーパー!…この部屋には、今までどの挑戦者も入らなかった。ロジーナ……君は僕の初めての相手だ。…僕と戦える者が現れるなんて本当に嬉しい!だから〜自信をもっていい。君は、スゴイんだよ〜〜」 ロジーナ「……。まさか、まさか……先輩が……ウィザードだった、なんて…そんなことって……」 エドワード「ん?」 ロジーナ「あたしが…先輩と戦うことに…なるだなんて……。あんなに…あたしにいろいろ教えてくれて…あたしに優しくしてくれて、助けてくれた…あなたと……」 エドワード「ふふふっ、ふふふふふ……。そんな顔されると決心が鈍るじゃないか。…気にしなくていいんだよ、ロジーナ。君の方が僕よりもずっと強くなってるかもしれない。……後輩がどう変わったかを知るのは楽しみだ。まぁ、先輩と後輩といっても、僕と君は実際には1歳しか離れていないけどね。さて……君がどう成長したか、それを……ここで点検してあげよう」 ロジーナ「…で、でも、せ、先輩……あ…あたし、は…」 「…ちがう、ちがう」 相手は首を左右に振った。 ロジーナ「!?」 エドワード「先輩と後輩という関係は、もうおしまいだ」 ロジーナ「!!!」 相手は言い放った。 「……エドワード、と呼び捨てにしろ。ここからは、先輩と後輩ではない。ウィザードとそれに挑戦する者だ。…魔法の使い手ならば、勝負の際に相手がどんな者なのか、わかる。したがって、言葉は不要だ。ここまで来れた、ということは……君は強くなったということ。だからこそ、君はいま、この決戦の間に立ち、僕と向き合っている。……かかってくるといい、ロジーナ。君がもてるすべてのちからをもってして、僕を超えてみろ。僕のちからがどれほどのものなのか、また、君のちからがどの程度なのかを、ここで知るといい。…黒に染まった僕へみせてくれ。君の能力を、実力を、魔法を通じて、タイムラインの分岐点を!…………いくぞ!!!」 エドワードは両手を広げ、燃え盛る炎の玉をすぐに作り出した。
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