黒に包まれた再会(3)

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黒に包まれた再会(3)

かがやく光と、ひろがる熱と、相手の声に圧倒されつつも、ロジーナは返した。 「…わ、わ、わ、わかったわ!!……こ、このロジーナ、全力で、戦う!!黒い塔の主・エドワード、覚悟しなさい!!」 エドワードは微笑んだ。 「よろしい……いい目をしている……」 エドワードの瞳が変化した。 黒い鏡のような板がさまざまな色と光をあやしく放つ。 「…ぇ…ッ!!!?」 いきなり冷たい人形に抱きしめられたかのような、ヒヤッとした感覚がロジーナの全身を包んだ。 それから突然、すさまじい威圧感がロジーナを襲った。 それは、これまで勝負してきたどんな相手も比較にならない、ケタ違いの威圧感であった。 いままでの対戦相手は、いったいなんだったのか。 これは別格といってもいい。 目の前にいるのは、これは……あたしが知っている、あたしの好きな彼ではない。 時間と空間が引き離されて、黒に支配される感覚は、部屋内へと満ち満ちた。 ガリガリガリ、パキパキパキ、と部屋の悲鳴が響く。 ガラス戸が鳴っている。 床が多少、揺れたようにも感じた。 古い建物自体が叫び声をあげている。 いきなりゆがんだ異世界へと連れ込まれたロジーナの耳へ…いや、心の中へ直接、エドワードの声が聞こえた。 『……僕の真の姿をみせてやろう……。君はとてもいい素質を持っている。ウィリアムが言っていたし、僕もそう思っていた。……ああ。それは、たしかだ。…だが、僕はどうかな?僕にはどんな素質があるかな?……君と僕の魔法の師だったウィリアム、つまりは僕の父と…この黒き塔の元ウィザードだった僕の母・エリザベスから受け継いだ、僕の本来のちからに君はかなうだろうか?……ロジーナ、天と地を光と闇でつなげて、最後のゲートキーパーである僕を打ち倒し、なにものにも染まらない黒一色を別の色へと塗り替えてみるといい……』 どこにも風は吹いていないはずなのに、身体が吹き飛ばされそうに感じる。 信頼できる相手でなかったのなら、ロジーナはそうなっていただろう。 見えない衝撃波によって、どこかへ全身が叩きつけられていたかもしれない。 しかし………片手で凍てついた氷柱を瞬時に作り出したロジーナの表情をみたエドワードは口元をゆるめた。 …………つよく……なったね……ロジーナ……それでこそ、僕が好きな君だよ……。 対抗できる魔法の発動準備が整ったロジーナは声を上げた。 「…いくわよ!!勝負よ!ウィザード・黒き塔のエドワード!!!」 こうして、エドワードとロジーナのたたかいは、開始された。
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