23人が本棚に入れています
本棚に追加
3回目の告白
「今日は放課後の練習来れそぉ?」
ざわざわと騒がしい教室の中で、後ろの方からサアヤの声が聞こえてきた。
サアヤは、洸が仲良くしている女子の1人だ。
いつものように洸の席に群がっているのだろう。
洸の席は私の斜め後ろだから、視界には映らないけど会話はよく聞こえる。
「うん、難しいかも。ごめんね」
洸がそう答えると、口々に残念そうな声が漏れる。
「そっかぁ。じゃあ、今日も8時からオンラインでね」
サアヤがそんな約束を取り付けている。
今まであまり気にしていなかったけど、洸はいつも、サアヤを筆頭とした女子4人組に囲まれている。
洸の一挙一動に、黄色い声があがる。
まるでファンみたいに。
まあ、洸にファンがいるのは分からなくもない。
女子が好きそうな顔だし、女子が喜ぶようなことを自然とやってのける男だ。
ただ不思議なのは、そんな人間がなぜ私に絡んでくるのかだ。
私はあの子たちみたいにキャーキャー言わないし、喋っててもつまらないだけだろうのに。
1限目が始まるまでの数分間、机の上に頬杖をついて、私はぼんやりとそんなことを考えていた。
最初のコメントを投稿しよう!