23人が本棚に入れています
本棚に追加
「洸くんは、どうしたいん?」
抱きついたまま、理乃は洸を見上げて尋ねる。
「このままで満足なん?」
見上げられて洸は、理乃のことがもっと欲しくなる。
「僕はーー」
洸はためらいながら口を開く。
「理乃ちゃんと一生、一緒に生きていきたい」
そう言って、理乃をベッドの上に優しく押し倒した。
「プロポーズするか押し倒すか、どっちかにしてくれへん?」
理乃に笑われて、洸は口を尖らせる。
「しょ、しょうがないでしょ。こう見えて今、すごいテンパってるんだ」
「私よりテンパってどうするん。洸くんは初めてやないやろ」
「なっ」
洸は、理乃の勘違いに面食らった。
「何で……初めてだよ。何で初めてじゃないと思ってるの」
「だって、昔は誰彼構わずキスしてたやん」
「キスとセックスは違うよ」
洸からのまともなツッコミに、理乃も面食らう。
「わ、分かってるわ。けど、あんたは変な人やから」
理乃がムキになって言い返す。
洸はごくりと喉仏を上下させた。
「その変な人のことを、理乃ちゃんは受け入れてくれるの?」
至近距離から不安げに放たれた問いに。
「私にしか無理やろ」
理乃はあっけらかんとそう答えた。
愛おしさがあふれて、洸はその唇に口付けを落とす。
「理乃ちゃんはいつも僕に、どうしたいか訊いてくれるよね」
昔からそうだった。
理乃は洸に、主語を自分にすることを思い出させてくれた。
理乃は、洸の頬に手を当てる。
「一生訊いてあげる。だからーー」
洸の顔を引き寄せるようにして、またひとつキスを交わした。
「私に嫌われるかもとか余計なこと考えないで、洸くんが今したいことをちゃんと教えて」
見つめ合う洸の瞳が、ゆらゆらと揺れている。
「……いいの?」
それでも迷う洸に。
「私だってずっと洸くんに触りたかったんよ」
理乃は洸の背中に手を回す。
2人の身体が、ゆっくりと密着していく。
「理乃ちゃん、柔らかい。温かい。溶けそうーー」
「いちいち言葉にせんでええから」
「可愛い。好き、好き、大好き。愛してるーー」
「分かったて」
まだまだ言い足りなさそうな洸の口を、理乃はキスで引き取る。
2人はそれから、永遠を紡いでいく。
最初のコメントを投稿しよう!