プロローグ

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 硬く冷たい金属格子の向こう側から私を見下ろすシメオン様の姿に、私は自然と笑みがこぼれた。  ああ。  最後にまた会えた。こうして生きている姿でまた会えた。  ……良かった。  あなただけが私を信じてくれたから。  私を信じてくれた唯一の人だったから。  暗闇の中の一筋の光だったから。  願わくは今世でこの悪夢を終わりにしてほしいけれど、こうしてまたあなたに会えるのならば、これから何度暗闇の人生を繰り返すことになったとしても、私は心強く生きていけるでしょう。  私は彼にもう一度微笑むと、断罪を素直に受けるべく深く頭を垂れた。
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