0人が本棚に入れています
本棚に追加
「ぎゃーーっっ!!!」
ひと抱えもある、巨大蜘蛛。
とんでもなく、気持ち悪かった。
妖しげにぬらぬらと紫色に光る目がぐるりと大体二十個くらい。
触覚はゆらゆら、八本の脚はチャキチャキ。
全身にはシャキシャキと銀色に反射する刃のような細かい毛がびっしり無数に生えている。
私の判断は死ぬほど速かった。
私は玄関前に立てかけておいたホウキをむんずと掴んだ。
そしてそれにまたがると、ピューッ!空へ舞い上がって逃げ出した。あ、私って空飛べたんだ、なんてちょっと感動しながら。
置いて行かれた配達人のお兄さんの判断も速かった。
あっさり自分が見捨てられたことを知るや否や、彼は即座に来た道をピューッと駆け出した。その後ろを、ついに箱から這い出た巨大蜘蛛が追う。動きはまあまあのろいのに、脚が長いので一歩で凄まじい間合いを詰めてくる。頑張れ、走れ!あっ追いつかれる、いけ、まだ間に合う!逃げろ!
私の祈りが通じたのか、お兄さんは配達トラックに危機一髪で転がり込んだ。
しかし、蜘蛛がトラックに取り付いた!そして暴力的な脚が振り上げられる!
このままではトラックが真っ二つに破砕されてしまう!
あーダメダメお兄さんが死んじゃう!!
となったところで、奇跡は起こった。
「変、身!!!」
お兄さんが、気合いと根性でトラックを変身させたのだ。そう、トラックを、巨大ロボットに!!気合いと根性で!!!
操縦席に座ったお兄さんは、ドガンドガンと足踏みをして蜘蛛を追い払った。
あーよかった……と私が空中に浮いたまま安堵の息を吐いた時だった。
全然よくなかった。
大変まずいことが起こった。
「あっ、こんなところに空飛ぶ魔女がいるぞー!」
「あっちには巨大戦闘ロボットが!」
私たちが、見つかってしまったのだ。
最初のコメントを投稿しよう!