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「野菜お届けに来ましたー。」
「はーい、今開けまーす。」
生活協同組合。
それに私は入っている。
目的はもちろん、とても便利な野菜お届けサービス。一週間に一回、まとめて配達してくれる素晴らしい制度だ。安く品質の高いものが手に入るのだから、利用しない手はない。
一人暮らしなんだから、ちょちょっと買い物に行ってしまうほうがかえって面倒がないとか、野菜を余らせて腐らせる可能性が低い分トータルで安上がりになるはずだとか、そういう正論は聞き流す。
いいじゃないか。私はぐうたらな人間なのだ。これというのも、甘やかしの権化みたいな親が「これ便利だよ〜。契約の面倒なとこは私たちがやっちゃうし、なんなら毎週『お任せ野菜セット』頼んどけば脳みその1%も使う必要ないから〜。」なんて言ってくるのが悪いのだ。
インターホンの向こう側で、気のよさそうなお兄さんがニコニコしている。私はトタタタタ、と玄関までダッシュして、がちゃんとドアを開けた。
「お待たせしました。」
じゃっかん息を切らして私が言うと、お兄さんはニコニコと「いえいえ、毎度ありがとうございます。」と照れ笑いをした。
そして。
事件は起こる。
「それでは、今日の野菜を————」
お兄さんが押してきた台車に乗っているのは、白い発泡スチロールで出来た、大きめの段ボールサイズの箱。お兄さんはその蓋をぱかんと開け、ビニール袋に包まれた野菜の束を取り出し————
「————って、なんじゃこりゃ……!!?」
野菜の束……の代わりに。
そこにドデンと鎮座していたのは……?
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