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私の中学の時のクラスメートに、麻由子ちゃんという女の子がいた。
実家はかなりのお金持ちであり、白亜の豪邸と庭の大きな薔薇園が自慢だった麻由子ちゃん。
彼女は、毎朝庭から薔薇を摘んで来ては、教室に飾るのが日課だった。
美しく珍しい薔薇には、癒される生徒も多かった様だ。
だが、貧しい家のクラスメートに嫌がらせをする一面もあった麻由子ちゃん。
彼女の嫌がらせは、いじめと言っていいほど苛烈で、いじめを受けた生徒の中には登校拒否になってしまった者もいた様だ。
そんな麻由子ちゃんが中学3年生になったある日、彼女が飾った薔薇に異変が起き始める。
なんと、染み一つなかった薔薇の葉――そこに、ポツポツと黒い斑点が浮かび上がっていたのだ。
しかも、それはよく見ると人間の顔の様で。
気分を害した麻由子ちゃんはそれを捨てると、翌朝、葉には一切斑点のない薔薇を持ってきた。
しかし、その薔薇も1時間目が終わる頃には、葉に斑点が浮かび上がってしまい――。
苛立った麻由子ちゃんは、翌日、大きな薔薇の花束を教室に持参する。
勿論、葉には染みなんてない。
だが、朝礼が終わる頃、一番前の席に座っていた生徒が悲鳴をあげ、パニックを起こした。
なんと、薔薇の花束の葉には、びっしり黒い斑点が浮かび上がっていたのである。
その花束を捨てようと花に近づき、斑点を見た瞬間、悲鳴をあげる麻由子ちゃん。
以降、彼女は学校に一切花を持ってこなくなったし、自慢の薔薇園も全て刈り取ってしまったらしい。
その後、一番前の席に座っていた生徒に聞いたところによると、斑点は全て麻由子ちゃんがいじめて来た生徒達の顔にそっくりだったそうだ。
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