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べた、べた、べた。
貴女のギモンに答えるためには、昔話から始めなければいけないと思うわ。
というのも、私がこんなことになった原因は全て、あの時の事件から始まっているのだから。
今から約二十年前。私がまだ女子高校生だった時のこと。貴女には高校時代の昔話ってしたことあったかしら?中学の時は同じ吹奏楽部の友人として仲良くしていたけれど、高校は別の学校になったし、直接会ったのも同窓会くらいだったものね。だから、あまり話す機会もなかったんじゃないかしら。
子供の頃から運動音痴だった私には、運動部なんて選択肢はないも同然だった。
それゆえに、中学の時は吹奏楽部に入って――また吹奏楽部も思った以上にキツかったけどそれはそれね。高校に入ってからは漫画研究同好会に入ったというわけ。
なんで吹奏楽部に入らなかったのかって?
ああ、うん。高校の時の吹奏楽部、レベルが高すぎたのよ。
中学の時一緒だった貴女は知ってるでしょうけど、うちの中学の吹奏楽部ってけして地区大会どまりだったでしょう?頑張っても銀賞取れるかどうかってくらい。金賞取って県大会出場なんて夢のまた夢だった。私自身のユーフォニアムの腕も大したことなかったし、かなり練習がハードそうだったからついていける自信がなかったのよ。
それで、色々考えた末漫画研究同好会に入ったってわけ。
同好会だから規模は小さいけれど、毎日好きな漫画を読んでお絵かきできて、結構楽しい部活だったのよね。
そんな漫画研究同好会唯一のイベントは、文化祭。
文化祭で発行する部誌を出すのが最大にして唯一の目標みたいなものだった。みんなでそれぞれ何十ページかずつ漫画を描いて部誌を作るわけだけど、これもまたすごく面白い反面めちゃくちゃ大変だったのよ。
というのも、これ二十年前の話なわけ。
当時はデジタルで漫画を描く環境なんてほとんどなかったの。正確には、部室にパソコンなんてなかったし、私たちも誰も持ち込める自分のノートパソコンなんて持ってなかったというべきかしら。
当時はパソコンがあってもWindows 2000とかそのくらい?なものだからスペックも低いしね。当時のプロの漫画家も、アナログで描いていた人がまだ殆どだったと思うわ。
だから。
「さあ、やってきたぞ文化祭!」
ゆるゆる部活の漫画研究同好会。秋の文化祭の時まで、三年生は普通に引退せずに残ってた。
正確には長い漫画は描かないけど、ちょっとしたイラストくらいは参加してたというべきかしら。
この三年生の部長がかなりの熱血女子で、部室に顔を出さなくなるその時まで私達後輩を熱血指導!してくれていたのをよく覚えているわ。
実際、彼女は実力もあって。前に某少年誌の公募で最終候補までいったことがあるほどの技術を持ち合わせていたのよね。
「文化祭こそ、我々にとって唯一無二の晴れ舞台!今年こそ新入部員を勧誘しつつ、部誌を売りまくるよ、いいね!?」
「は、はい……」
彼女の気合に、その時二年生だった私はかなり気圧されてたのをよく覚えているわ。
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