娘の初恋

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「大丈夫だよ。どうせ髪なんて、すぐ伸びるし」 「……」  そう笑う娘の黒髪に、私はバリカンを近付ける。  また、こんなことをしなければならないのかと、込み上げてくるものを抑えながら。  私は好きで、年頃の娘から髪を奪うわけではない。  娘も、好きで髪を失うわけではない。  分かっているけど、どうしようもない。どうしようも。
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