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それから二年の月日が流れて、娘は六歳。
闘病生活、四年。とうとう完治した。
二歳からの入院治療に耐え、五歳で退院してからも通院治療を続けて、やっとこの日は来てくれた。
癌とは関係なく生まれた時から病弱な娘は、退院後も幼稚園に行くほどの体力はなく、小学校も少しずつ通う方針で決まった。
だけどランドセルを背負って笑う姿に、やっとこの子は周りと同じ人生が送れると喜びを噛み締めていた。
しかし、娘は学校に馴染めなかった。
幼少期より集団生活を送れなかった為、いきなりの同世代との関わりに対する混乱。
幼稚園からの交友関係も出来ており、その中に入っていけるほどの積極性などあるはずもない。
そして孤立に拍車をかけたのは、周りと同じ集団生活が送れないということ。
病弱な体質に加え、完治といっても再発の可能性は充分にあり、制限のある生活を送らなければならない。
だから体育や運動会の参加は難しいが、わがままでしないと誤解されてしまう。
状況を見た担任の先生はクラスで事情を話してくれたが、次は病気が感染ると避けられ結局同じだった。
子供は純粋と言うが時に残酷で、本当は感染らないと分かっているのに、面白がる。
それほど集団と違うことをする者は、軽視して良いと思うものなのか。
娘と夢見た外の世界は、これが現実だった。
しかし娘は、めげなかった。
友達を作る夢は諦め、好きな本を読んだり自由帳に物語を書き綴っていく。
入院中に絵本ばかり読んでいて、本に魅力されていた娘は退院後も変わらずで、とうとう書く側になってしまった。
その物語の中での主人公は友達に囲まれ、外で走り回っていて髪が長い。これが娘の理想なのだろう。
友達を作ることも走り回ることも難しいけど、髪を伸ばすことは出来る。
だから毎日願った。
早く髪が伸びますように。
もう、髪を失うことが起きないように。ひたすら。
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