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そして、高校二年生の夏。
その時は訪れた。
抗がん剤治療を、避けられない段階まで。
「はい。よろしくお願いします」
話を聞いた娘は、そう言い頭を下げる。
あまりにもあっさり受け入れる姿に、本当に良いのかを思わず聞いてしまった。
「散々わがまま通したから、もういいよ。ちょうど夏休みだし、学校も辞めるから……」
そう笑う姿は子供の頃と同じで、目から光がなくなっていた。
「未来……」
これ以上、言えることなんてなかった。
元気になったら学校に行ける。
もう、そんな段階ではない。
友達には病気のことを知られたくないと再発した時より決めていて、病弱で通してきた。
好きな彼にも、病気のこと話していないだろう。
だからもう、誰とも会うことなど望めず、この子は一人になってしまった。
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