五十嵐吾郎の愛情

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五十嵐吾郎の愛情

 僕は恵理子さんのことが好きになってしまった。恵理子さんは割り切った関係だと言っていたけど、僕は夫と別れて欲しかった。  恵理子さんのことを素行調査の業者に調べてもらって、隣町の銀行で受付をしていることがわかった。僕は恵理子さんが働いている銀行に薔薇の花束を持って直接会いに行った。  しかし僕が銀行に着くと拳銃を持った男女が銀行強盗をしようとしていた。僕は人質の一人として銀行内の隅に集められた。なんでこんなに日に限って。  僕の前には明らかにパニックになっている人質の男がいた。その男は手を頭の後ろで組みながら大きな鞄をずっと気にしていていた。  犯人の男が恵理子さんにお金を詰めるように指示している。僕は仮に強盗されても恵理子さんの身に何もなければいいなと願っていた。  しかし恵理子さんは僕と目が合うとパニックになってバックに詰める金を落としていた。それに怒った男が恵理子さんを拳銃で殴ろうとしていた。  僕は咄嗟に男に大声を出した。恵理子さんが僕の言葉を聞いて、目に涙を浮かべていた。そんなにも嬉しかったのだと思って良かったと胸を撫で下ろした。
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