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3.求婚
『アーノルドは話を相手に聞かせた時点で、もう落としている』
そうエディはよく言っていた。アーノルドは相手の望みを言い当てるのが上手。なぜか険しい顔をして異を唱えていた相手が次にはアーノルドの肩を抱き、要望に従い、同士になっている。
リナにはその方法がわからなかった。これは絶対無理だろう、そう思っていても仲間にしてしまう。それが零落法? それならこれは彼の何段目?
アーノルドが握っていたリナの薬指にするりと簡単に指輪を通してしまう。
「アーノルド? 私何も返事をしてないわ! それに」
応じるつもりもない、そう続けるつもりだったのに。
「来週また来るよ。その時、返事をきかせて」
「ちょっと待って!」
「それは魔法がかかっている。来週の返事の時、断れば抜ける。受ければ入る」
引っ張っても指輪は抜けなかった。受けてないのに入ってしまっているじゃない。そう言っても、馬に乗るアーノルドの背は小さくなっていてリナは見送るしかなかった。
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