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白黒はっきりいたしましょう!
「いい加減にしたらどうだ」
勇者は怒りを滲ませて、呻いた。
目の前に黒々とそびえたつのは、この世界の人々を苦しめる魔王の城。深い深い森をバッグに、怪物のレリーフをあしらった巨大な門。高さはなんと、一般的な建物の百階相当に及ぶという。
まさにラストダンジョンに相応しい。
この城の玉座にいるという魔王、奴を倒せばこの世界は救われる。自分は勇者として、使命を果たすことができるのだ。
「貴様の悪行もここまでだ。お前も僕のことが目障りなはず。いい加減、白黒はっきり決着をつけようじゃないか。僕とお前、どちらが正義であるのかを!」
『ふん、やれるものならばやってみるがいい……』
城の方から、テレパシーで魔王の声が聞こえてくる。自信たっぷり、威圧感に満ちたその声。なんと忌々しい。
『貴様が我の玉座に辿り着けたならば遊んでやろう。いい加減、余興も飽き飽きしてきたところなのでな』
ああ、腹が立つ。
勇者はギリ、と唇を噛みしめ――言い放った。
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