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魔族領で出会った転生者は魔王様だけではなかった。
その中でも薬師のエマさんにはよくして頂いた。
この世界の地理文化言語常識、私達が得た能力の扱い方、人族との処世術、戦闘能力、色々なことを教わった。
転生者の方々には温厚な人が多い。
やはりこれは年の功というやつであろうか。
この世界は私達がいた世界とは大きく違い、剣と魔法、科学の世界だった。
人族は科学と魔法の併用で誰だって好きに空を飛べるようになり、魔道具の開発で水中をも手中に収めたと言っていた。
どうやらこの世界は完全なる人類至上主義らしい。
エマさんから聞いた話で私が最も唆られたのは妖精大陸の話だ。
ここから海をずっとずっと東に行ったところに幻術で隠された妖精達の楽園があるのだと。
妖精達は精霊力という力を操り暮らしている。
妖精の存在は人族には知られていないとのことだったので、その幻術がどれほどのものか分かるだろう。
エマさんも行ったことがあるらしく、1000年は居着いてしまったと言っていた。
残念ながらどんなところだったか聞くと笑ってはぐらかれてしまったが。
いずれは私達も行ってみたいと思う。
この世界は他の世界に比べ転生してくる者の数は圧倒的に少ない。
しかし、世界中にいる転生者の数は多いんだと。
まぁ、不老不死なんだから当然だわな、とは思うが、自害をしようと思ったらできるらしいのでこの世界を自由に見て回って満足して命を絶った方もいるんだろうな。
それゆえに精霊大陸や魔族大陸に留まらず人族の大陸にも転生者はいるらしいのだ。
よほどの物好きかとは思うが、きっとそんな生活も楽しい。
今世ではやりたいことをいくらでも出来るのだから。
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