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「お前がこうなったのは俺のせいだな、本当にごめん」
まさか「別れてください」の事件から、彼氏が片割れに謝るようなことになるなんておもってもいなかった。
徹が悪いことがおおいから、徹が謝るのはよく見るが司が謝るのはあまりない。
「いや、別に司のせいとか思ってない」
「ただ、俺の名前はもう使うな。やるなら自分の名前を明かせ。相手にも失礼だし、俺もこうなったら黙ってられないからさ。俺のせいとはいえ俺は優芽のことは離せないし」
ギュッとあたしの手を握る司。
「優芽ちゃんは?同じ顔してるけど司がいいの?」
「うん」
「即答かよ」
ははって笑う徹。
「別に顔で好きになったわけじゃないし。ふたりは中身全然違うじゃん。それにどっちでもいいなんてないよ。徹は徹でしょ」
同じ顔してるんだからなんて、徹は思ってない。
だって、見分けのつかない女の子たちのことをいつも「どっちでもいいってことじゃん」って嫌ってた。
「はぁーーーー優芽ちゃんのそういうとこが好きなんですけど」
「だから俺もだって」
そう言ってふたりは笑い合う。
「ごめん。その女の連絡先も知らないけど、多分先輩が知ってるから連絡とってみるよ」
「どうするの?」
「ちゃんと言うよ。俺だったって。そんでもう迷惑かけねぇ」
そう話す徹はなんだか吹っ切れたような顔をしていた。
「大丈夫か?記事になったりしてパニックにならない?」
どんなことがあっても片割れのことは心配なのだろう。
「そうなっても信頼回復してくしかないよ」
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