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「一件落着かな?」
徹が帰ったあと、ベランダで2人並んで外を眺める。
司の家のベランダから眺める夜の景色が大好きなんだ。
「まさかあいつがあんな理由で俺の名前を名乗ってるなんて思わなかったわ」
司にとって相当ショックだったようで、こてんとあたしの肩にもたれかかる。
「今日は驚きの連続だったよ」
「悪いことすると自分にかえってくるもんなんだな」
「別に悪いことしたわけじゃないでしょ?徹から恋愛相談されてたわけでもないんだから」
「……まぁな。でも、俺が優芽と付き合ったって知ったときの徹の顔、今思い出しても相当やばい顔してた」
「あたしも全然気づかなかったな。すごく隠してるじゃん、徹。めっちゃポーカーフェイス」
司と付き合い始めてもう4年になる。
付き合ってからよく徹にも会ってたのに、今日までまったく気づかなかったもん。
「いや、周りからみたらバレバレだったよ。多分気づいてないの優芽だけ」
「え!?そうなの!?」
「なぁ、本当に俺でよかった?徹の方が有名人だし……」
司が眉をキュッとよせて、不安そうな顔になる。
「別に有名とかそんなの関係ないでしょ。それに司じゃないと何年も一緒にいないよ」
あたしは司だから今もこうして隣にいるのだ。
きっと徹の性格だといつも喧嘩してそう。
「たしかに徹なら素直になれない小学生みたいになりそうだし、毎日喧嘩してそうだな」
「同じこと考えてた」
同じ考えになるだけでちょっと嬉しくなる。これはやっぱり好きだからだと思う。
「これからも俺と一緒にいてな」
きっとこの先何年も何十年もあたしはこの人の隣にいる。
-FIN-
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