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「別れてもらえません?」
突然知らない女性にこえをかけられる。
「……は?」
「あたし、司くんと寝ました」
「……はぁ」
「彼は優しくて、好きになってしまったんですけど、カレには貴女がいると知ってこうして出向いた次第です。すみません、お願いします!」
こちらが突っ込む隙もなく、早口で言い放った彼女はなんとそのまま走って逃げていってしまった。
「……嵐みたい」
自分の彼氏が浮気?をしているかもしれないというのに、なんとあたしの頭は冷静だった。
普通ならパニックになるようなものだろうね。
「だって、これ徹だもん。あたしの彼氏じゃない」
彼女が事後の写真だろうものを置いていったけど、それはあたしの彼氏ではなくて彼氏の双子の弟の徹だった。
徹は根っからの遊び人で、でも少し肩書きのある役職についているからと双子の兄である司の名前を使って女遊びすることがよくある。その度に司には「いい加減にしろ」って怒られているがいつまで経っても懲りないようだ。
「この状況どうしたらいいのよ……」
彼女は完全に自分が寝た男が司だと信じているし、司の振りをして女遊びをしているのは知っていたけど、いままでは割り切った関係だったようでこうしてわざわざあたしに向かって来る人は初めてだった。
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