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01.伝説
暗殺者。
殺し屋。
そんな簡単な言葉では表現できないほどに卓越した者がいた。
狙撃を得意とし、通常ではありえない何千メートルも離れた場所からでも確実に標的を捕らえる。
時には高層マンションの一室、はたまた高速で走る電車の座席にいる者でさえ、彼から逃れることはできない。
ひっそりと物陰に隠れても、日の当たらない地下に潜ろうとも、闇にまぎれて死神のごとくどこまでも追ってくる。
人の所業であることを疑うほどに、何ひとつ痕跡を残さない。
コンバットマグナムを愛用している、ということだけが唯一の手がかり。
誰もその姿を目にした者はいない。
いつしかグリムリーパーと呼ばれるようになり、殺しを生業にしている者たちでさえその存在に怯えた。
グリムリーパーに狙われた者は地獄に落ちた者さえも逃げられないと……。
しかし、いつしかグリムリーパーは殺しを生業とする者たちの標的となった。
グリムリーパーを殺った者こそが最強という称号ほしさに、腕に自信があるモノたちはグリムリーパーを血眼になって探し回った。
けれど、未だグリムリーパーを仕留めたものはいない。かわりに死体だけが増えていく。
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