救世主

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「……こい、びと……?」  瀬那(せな)くんの自己紹介に、唖然とした表情で呟く晴香(はるか)さん。……うん、僕もびっくりです。いつの間に、そんな申し訳ない設定が―― 「……っ、わ、私は何もしてない! こいつがあたしを一方的に襲って……だから、あたしは被害者なのよ!」 「…………えっ?」  すると、弾かれたように叫ぶ晴香さん。そして、そんな彼女の言葉を受け―― 「……そっか、そりゃ怖かったよな」 「……っ、そ、そうよ! 全く、危ないとこだったわよほんと!」  そう、淡く微笑み告げる瀬那くん。そして、甚く安堵したような笑顔で応じる晴香さん。……まあ、そうだよね。この状況なら、普通そう見え――  ――――ゴオォンッ! 「…………へっ?」  卒然、視界が真っ白になる。……いや、視界というか、頭が。だって……この目でしかと見たにも関わらず、自身の認識が信じられなかったから。だって―― 「――ええええええええええええぇ!!」  なんと――瀬那くん渾身の拳が、晴香さんの頬を思いっ切り捉えていたから。  
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