朝川瀬那

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「……でもさ、瀬那(せな)くん。もう何度も聞かれてうんざりかもしれないけど……なんで、そんなに僕に構うの?」  ともあれ、隣を歩く男子生徒へそう問い掛ける。……いや、この言い方は良くなかったかな? 別に嫌なわけでも、迷惑なわけでもないし。  ただ……率直に、そう思うだけ。と言うのも――瀬那くんは眉目秀麗かつコミュ力も高く、そして誰に対しても優しい。そんな素敵な素敵な彼であるからして、どうして僕のようなクラスの隅にひっそりといる言わば空気のような……いや、それは空気に失礼か。まあ、それはともかく、ほんとにどうして―― 「……なあ、逢糸(あいと)」  そんな疑問が巡る最中(さなか)、不意に僕の名を呼ぶ瀬那くん。……いや、不意にでもないか。そもそも、僕が尋ねたんだし。ともあれ、彼は再びゆっくりと口を開き言葉を紡ぐ。 「――お前が、どうしてそんな自虐的にならなきゃならないのか、俺には分からない。それでも……俺は、お前と仲良くなりたいって思った。ただ、そう思った。それじゃ駄目か?」
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