家庭教師

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 ともあれ、鞄を置き一息ついた後、さっと身支度を始める。もうじきお越しになるはずだし、早く終わらせないとね。まあ、とは言え服はそのまま――制服のままで良いと仰っているし、軽くメイクをするだけだから楽なものだけ――  ――ピンポーン。   すると、不意にインターホンの音。しまった、思ったより早く……ササッとメイクを終え、少し駆け足で扉へ向かう。そして―― 「……すみません、遅くなりました……晴香(はるか)さん」 「ううん、気にしないで。私が早く来ちゃっただけだし」  そう、少し慌てて告げるも笑顔で答えてくれる清麗な女性。彼女は真野(まの)晴香さん――地元の大学に通う三年生で、僕の家庭教師を務めてくれていて。  ともあれ、彼女を部屋(なか)へ案内しお茶と和菓子をお出しする。すると、感謝を述べつつ丁重にお断りする晴香さん。そして―― 「――それじゃ、今日もよろしくね。逢糸(あいと)くん?」  ――そう、清らかな笑顔で告げた。  
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