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「……急に、どうしたんだよ逢糸。いったい、俺が何をし――」
「……俺が何をしたんだ、そう言いたいの? 胸に手を当てて考えてみてよ。こう、毎日毎日放課後付きまとわれて……こっちが、迷惑してるの分からないの?」
随分と唐突な僕の言葉に、呆然とする瀬那くん。……まあ、そうなるよね。だけど、僕としてはさほど唐突なわけでもなく、いつかは言わなければならないとずっと思っていて。
……うん、これで良い。僕に……僕みたいな穢れた人間にこれ以外構っていたら、大切な彼の人生が無駄になる。……まあ、これまでの分はもう諦めて頂くしかないけど、せめてこれからの分は――
「……なあ、逢糸。俺は、きっとまだお前のことを何も知らない」
「……へっ?」
すると、そんな思考の最中、不意に届いた柔らかな声。顔を上げると、そこには声音に違わぬ柔らかな微笑を浮かべる瀬那くんの姿が。そして――
「――でもな、逢糸。これだけは、どうか覚えておいてくれ。例え、何を知っても――俺は、絶対にお前を嫌いになったりしないし、絶対に離れたりしない」
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