汎愛殿下が私を溺愛するまでの三日間

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 誰もに平等で優しい陛下。たった一人で嫁いできた私の旦那様。  私はメルガ帝国の末の姫、ルゼア。  桃の髪に紅の瞳、メルガ皇帝の色を濃く受け継いだ娘。  旦那様は先の戦争を経て新たに擁立された新国王陛下、名はマセイアス。  ゼーディス王国を戦争の道へと導いた王侯貴族たちはみな処刑され、旦那様は帝国への恭順として私を娶った。   彼は亡きゼーディスの王侯貴族たちからは、汎愛殿下と誹られていたらしい。  国の誰をも愛する愚かな王子殿下であると。身分の分け隔ても、帝国への憎しみも知らない汎愛だと。だから王子殿下時代、継承権を一度は剥奪されていた。  全てが処刑され、彼は我が父の承認を得て国王となったのだ。  彼の有名な噂は本当で、彼は国民を汎愛していた。  女性の憧れる「理想の溺愛の夫」とは、まさに真逆の人だった。  彼は、結婚初夜さえ一緒にいなかった。  城の官吏は私に告げた。 「陛下は敗戦に沈んだゼーディス王国を復興させるため、国民皆に汎愛をもって接しておられます。なので」 「わかっているわ。私は帝国から押しつけられた妻ですもの。重々わきまえているわ」
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