汎愛殿下が私を溺愛するまでの三日間

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 嫌がらせをしてきていた人が謝罪して誠実に接してくれるようになったこともあれば、いつの間にか居なくなっていることもあった。逆に、最初から私に好意を示して恭順してくれる人も増えてきた。  結婚して三年目が、もうすぐ訪れようとしている。  今ではすっかり、私のサロンには貴婦人達がこぞって集まってくれるようになっている。  教会に入れば不思議と悩みを告白する人が近づいてくるようになった。  私はただ、彼らの怒りを受け止めただけだ。まずは受け止めなければ、「帝国からの嫁」としての役目は果たせないと思ったから。 「そういえば、初夜を共にしないまま三年が過ぎれば離縁することもあると聞かされていたわ。陛下はどうなさるおつもりかしら」  結果がどうだとしても、私は帝国からの妻として役目を果たすだけだ。 ◇◇◇    はたして夫は帰ってきた。  彼の事を思い出した、ちょうどその日の深夜遅くに、夫は真っ先に私の部屋までやってきたのだ。言ってくれれば、私が出迎えに行くのに。 「ずっと会いたかった。待たせて済まなかった」 「そうですね、そろそろ離婚には良いタイミングですね」 「離縁?」  
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