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有能と言われる彼はきっとそういうこともできるだろう。
陛下は私をまっすぐ見て、真面目な顔になった。
「私が敗戦処理で城を開けざるを得なかった間に、苦労をかけてすまなかった。初夜だって君に大変な失礼を」
「あの夜、前国王派の襲撃があったのですよね。けれど帝国から来た私たちに、内乱について告げるわけにはいかなかった」
「……知っていたのか。それにその後も、君は苦労させられたと聴く。元々君を妻に迎える時も、丁重に扱われるのか案じていた。我が国が敗北したのは愚策の末のことだが、君を逆恨みする者も必ずいるはずだ、と……実際いじめられていたと聞き、居た堪れなかった。……長い間、君を嫌がらせから守れなくて申し訳なかった」
「いじめの件については誤解があります」
私はすぐに首を横に振る。
「私があえていじめられたのです。側仕えを国に帰らせ、陛下への報告も刺せなかったのは私の判断です。陛下に情報が届かないようにも、言い含めておりました」
「なぜそのようなことを」
「恨まれるのは帝国の姫としての役目です」
私はキッパリと言った。
陛下は悲しい顔をした。
「辛かっただろう」
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