第一章 雪降らずして銀に染まらず、朱に染まる

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「その人に用事あるんだけど退いてくれない?」  プリン頭の少女は気怠そうに言う。若者四人は顔を見合わせて笑った。  少女は表情を変えない。 「それより俺らと遊ばない?」 「君みたいなスタイル良い子ってここら辺じゃいないんだよね」 「見ない制服だ。どこの学校?」 「高校生だけどお酒飲めるっしょ?」 「退けって言ったんだけど?」 「そんな怖い顔しないでさ」  近付いて、男の一人が少女の肩に手を置いた。  瞬間、少女の瞳が明確に変わったことをカノシタが見逃さなかった。 「────やめろ、馬鹿!」  四人が呑気な中、カノシタは叫ぶ。  彼女が人殺しの目をしていていることを理解していたから。 「?」  殺意に満ちた刃のような言葉だった。  肩に置かれていた手を掴み、手首と肘の間接を極めた。痛がった男は声をあげる。それだけではなく、少女は関節の抵抗を無視して肘を叩き折った。 「ああああああっ!」  男の悲鳴が繁華街に響く。通行人やキャッチが何事かと振り向いた。
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