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「その人に用事あるんだけど退いてくれない?」
プリン頭の少女は気怠そうに言う。若者四人は顔を見合わせて笑った。
少女は表情を変えない。
「それより俺らと遊ばない?」
「君みたいなスタイル良い子ってここら辺じゃいないんだよね」
「見ない制服だ。どこの学校?」
「高校生だけどお酒飲めるっしょ?」
「退けって言ったんだけど?」
「そんな怖い顔しないでさ」
近付いて、男の一人が少女の肩に手を置いた。
瞬間、少女の瞳が明確に変わったことをカノシタが見逃さなかった。
「────やめろ、馬鹿!」
四人が呑気な中、カノシタは叫ぶ。
彼女が人殺しの目をしていていることを理解していたから。
「誰が触れていいって言った?」
殺意に満ちた刃のような言葉だった。
肩に置かれていた手を掴み、手首と肘の間接を極めた。痛がった男は声をあげる。それだけではなく、少女は関節の抵抗を無視して肘を叩き折った。
「ああああああっ!」
男の悲鳴が繁華街に響く。通行人やキャッチが何事かと振り向いた。
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