災難は突然に

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災難は突然に

 「マモル、一緒に帰ろう」  優男のモトオが廊下の窓から僕を呼んだ。  「うん、わかった。ちょっと待ってて」  帰り支度を済ませ、廊下に出た僕は モトオと一緒に、下駄箱で待つタケシ のもとに歩いて行く。  「な~、マモル、課題全部やった?」  「まだだけど……」  「え? おまえ明日提出だぞ。ヤバくない」  「そ~だけど。仕方ないさ……僕はおまえ等と 違って何事も人の倍以上時間がかかるんだ。  でも、今回はいささかヤバイかも」  「大丈夫か? 手伝おうか?   ほらタケシにも相談してさ」  「え、 いいの? 流石、モトオ君優しいね」  モトオに向かって両手を合わせ拝む僕。  「何が、優しんだ?」  下駄箱の後ろからから ひょっこりと顔を出したタケシ。  「あ、タケシ、マモルがまだ課題提出して ないんだよね。手伝ってあげようと思って」  モトオがタケシに伝えると、  「マモル、相変わらずだな。あれしきの課題 数時間もあればできるだろうに……」  冷ややかな眼で僕を見つめるタケシは フッと小さな溜息をつくと、  「仕方ないな。今回だけだぞ! ったくおまえの 計画性のなさには……思いやられる。  だいたいお前は、×*△〇、△※※〇△※※……」  いつもの難し過ぎる言葉を並べて 話し出すタケシ。    僕は、課題のためにタケシが話し終えるのを ただじっと待つ……。  「ねぇ、そろそろいいだろ?  マモルの課題やらない?」  地獄に仏……。モトオが僕たちに声をかける。  「そ~だな。そろそろ……」  メガネをクイっと正したタケシが 僕の顔を見ると、  「カフェオレ、それとドーナツもつけてくれ」  と言った。  「もちろんだよ。タケシ君」  腰をひくくもみ手でニヤつく僕。  「じゃあ、行こうか」  モトオが僕とタケシの手を引いた。    そして、僕たち三人は、カフェが併設してある 図書館に向かって歩道を歩きだした。
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