10人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
災難は突然に
「マモル、一緒に帰ろう」
優男のモトオが廊下の窓から僕を呼んだ。
「うん、わかった。ちょっと待ってて」
帰り支度を済ませ、廊下に出た僕は
モトオと一緒に、下駄箱で待つタケシ
のもとに歩いて行く。
「な~、マモル、課題全部やった?」
「まだだけど……」
「え? おまえ明日提出だぞ。ヤバくない」
「そ~だけど。仕方ないさ……僕はおまえ等と
違って何事も人の倍以上時間がかかるんだ。
でも、今回はいささかヤバイかも」
「大丈夫か? 手伝おうか?
ほらタケシにも相談してさ」
「え、 いいの? 流石、モトオ君優しいね」
モトオに向かって両手を合わせ拝む僕。
「何が、優しんだ?」
下駄箱の後ろからから
ひょっこりと顔を出したタケシ。
「あ、タケシ、マモルがまだ課題提出して
ないんだよね。手伝ってあげようと思って」
モトオがタケシに伝えると、
「マモル、相変わらずだな。あれしきの課題
数時間もあればできるだろうに……」
冷ややかな眼で僕を見つめるタケシは
フッと小さな溜息をつくと、
「仕方ないな。今回だけだぞ! ったくおまえの
計画性のなさには……思いやられる。
だいたいお前は、×*△〇、△※※〇△※※……」
いつもの難し過ぎる言葉を並べて
話し出すタケシ。
僕は、課題のためにタケシが話し終えるのを
ただじっと待つ……。
「ねぇ、そろそろいいだろ?
マモルの課題やらない?」
地獄に仏……。モトオが僕たちに声をかける。
「そ~だな。そろそろ……」
メガネをクイっと正したタケシが
僕の顔を見ると、
「カフェオレ、それとドーナツもつけてくれ」
と言った。
「もちろんだよ。タケシ君」
腰をひくくもみ手でニヤつく僕。
「じゃあ、行こうか」
モトオが僕とタケシの手を引いた。
そして、僕たち三人は、カフェが併設してある
図書館に向かって歩道を歩きだした。
最初のコメントを投稿しよう!