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神様は、神様は時として残酷だ……。
テレビドラマによく出てくる台詞。
横断歩道を歩いていた僕たち三人。
道路の真ん中にさしかかった時だった。
僕が何気なく右を向いたその時、
遥か彼方から猛スピードで走ってくる
車が視界に飛び込んできた。
ブォ~ン、ブォ~ンと轟音とともに
走って来る車。
「ヤバい、マモル、モトオ逃げろ!」
タケシの声が聞こえた。
横断歩道の真ん中に左にタケシ、右にモトオ、
その後ろを歩いていた僕。
咄嗟にタケシとモトオは左右に散って
走り出した。
「え? 何? 俺だけ?」
頭が真っ白になり横断歩道の真ん中に
立ち尽くす僕。
「マモル、危ない!」
叫び声が聞こえたその瞬間、
キキキキキ~、ドン……。
鈍い音と共に僕の身体は、
放物線を描くように綺麗に舞い上がった。
宙を浮く僕が見たものは、
口を大きく開け、飛ばされた僕を見上げる
タケシとモトオの姿。
そして僕は、走馬灯を……見ることに……
走馬灯? いや、違うだろ……
課題、明日までに仕上げないといけない課題、
どうするんだ? 確実に赤点じゃん。
夏休みに行く予定のフェス行けなくなる。
最悪だ! 最悪じゃないか。
僕死ぬの? 死んだら身体焼かれるんだろ?
熱いだろうな~、イヤだな~。
こんなことなら、同じクラスの花ちゃんに
告っとけばよかった。
そして、一番の問題は、ベッドの下に
かくしてあるタケシから借りている
美的センスを磨くという裸の女性が掲載された
僕等の参考書。いわゆる『エ〇本』が隠してある。
母さんに見つかったら呆れるだろうな~。
最悪だ~。
どうしよう……。
そうしよう……。
そうしたらいいんだ……と焦る僕。
宙に舞い上がった数秒間の間に、
色々なことを考えパニック状態になったまま
僕の身体は、横断歩道から数メートル先に
飛ぶとそのままアスファルトに叩きつけられ
僕の視界は真っ暗になった。
「マモル……おい、マモル、大丈夫か?」
ただ遠くから声だけが聞こえて来た。
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