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そこには、『オーシャンパシフィックテレビ 報道局 堀内純平』
と書いてある。
確かに一度、真栄田さんが現場近くでレンくんを見たって人がいると言っていた時に、この人の名前を聞いた。
「あ、失礼しました。真栄田さんから伺ったことが…」
そう言ってから「しまった!」と思った。リョウくんの件がなかったら、私と真栄田さんが知り合いなのは不自然だ。
「あー…真栄田とはどういったお知り合いですか?リョウくん関連ですよね?
俺、真栄田からすっかり色々聞いてるんですよ。
あなたの口からも聞かせてもらえませんか?」
怪しい。
陰キャでコミュ障を拗らせている私をナメないで欲しい。考えすぎて頭の中で思考が何回転にもなるような人間だ。
そもそも、この人リョウくんが置き去りにされた場所を突き止める取材力だからこそ、レンくんの目撃者を見つけている訳だし…
「お話することは何もありません…失礼します。」
「いや、何か知ってるでしょ?」
やっぱり…カマかけられたんだ。
私は堀内の方に振り返り…と言っても真っ直ぐに目を見ることは性格上出来ないけど…
「真栄田さんから色々お聞きになってるはずでは?」
とだけ言って走って駅に向かった。
が、残念ながら、足が遅かった…
「あなた最近、愛車を廃車にしましたよね?そこら辺、詳しく聞かせてよ。」
すぐに追いついてきた堀内に手首を掴まれ、近くに停めてあった車に無理矢理乗せられそうになった。
私の悲鳴に通行人がザワザワし始め、堀内が断念した隙に逃げた。
怖い…なんで車のことも知ってるの…?
家に帰ってから、リョウくんの事件を探って堀内に待ち伏せされたこと、カマをかけられたこと、拉致されそうになったことを報告すると、
「それ、真栄田さんに報告した方がいいな。」
と、言いながらすかさず電話で報告していた。
「堀内さんが花奏に接触してきた。車に乗せられそうになったって。真栄田さんの友達だろ?どうなってんの?」
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