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「はい、口開けて。あ~ん。」
リョウは自分の皿からハンバーグを一口分切って差し出してきた。
私は真っ赤な顔で、はむっと勢いよくかぶりついた。
「どう?美味しい?」
正直、味なんてわからない。多少生焼けな気もするけど、味なんてどうでもいい。
このシチュエーションが尊いぃぃぃ。
「花奏も俺に食べさせて。あ~ん。」
リョウは自分で作ったハンバーグを一口食べた。
「うーん…あんまり美味しくはないね。ごめん。
でもさ、毎日作るから、そのうち上手くなるからね、絶対。約束。」
と小指を立てて笑った。
私も小指を出して、それに絡まそうと思ったら、リョウはすっと手を引っ込め、その手をシャツの下へと忍ばせてきた。
「ちょっ…」
「ごめん。昨日は我慢したけど、今日は無理。」
彼の熱の籠った顔が近付く。
彼は私を膝の上に座らせたままキスをしてきた。
唇を優しく舐めるようなキスが続いたあと、
「花奏、口開けて。」
私は言われるがまま、少しだけ口を開くと、彼の舌がヌルリと入ってきた。
歯の裏や唇の裏側を這うように舐められる。
気持ちいい………こんなのキスというより、もう性行為だよね?
私は疲れていたせいもあり、天にも昇るような感覚の中、いつの間にか眠りに落ちてしまった。
「え? 花奏? 寝ちゃったの? 俺の元気になっちゃったコレ…どうすんのぉ?」
この日は推しのリョウくんとのナイトライフは不発となった。
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