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しばらく気にしてなかったんだけど、ある日彼氏の家に遊びに行くと恨みの念みたいなのがこびりついてるものがチラホラある。
「この小説、私も読んだよ」
「それ、面白いよね。最近忙しくて読めてないんだけど」
ペラペラめくるとしおりが挟まっている。何? これ。しおりが挟まったページを境にべたつくような思いが指先に伝わってくる。ただ挟まったしおりの次のページからは普通に平気なんだけど。
「ねぇ? このマンガ誰かに見せた?」
「いや、見せたことないなぁ」
「そうなの?」
この前買ったという新刊には何も感じないけどそれまでの既刊にはすごく何か嫌なものを感じた。
「ちょっと録り溜めしてたドラマ見ていい?」
「別にかまわないわよ」
最終回だったのか私は見ていなかったので感動もなかったが彼氏は涙ぐんでいた。ティシュを渡しているとすごい恨みの念を感じて具合が悪くなった。
「また野球見てるの?」
「うん。今日勝ったら優勝なんだよ」
しばらく一喜一憂で見てる彼氏を見てたら、気分が悪くなってきた。サヨナラホームランで優勝を決めたみたいだけど、その時なんか具合悪くなってトイレで吐いてた。どうでもいいんだけど。
「ゲームなんてするの?」
「するよ。その最後のラスボスなんて強くて強くて。こいつなんだけどさぁ」
得意気にスマホから検索して見せるけど、興味ない私はラスボスの姿を見たけどなんとも思わなかった。挙げ句に私にその画像を送ってきてどうすんのよ。ただこのゲーム自体嫌な感じが感じられる。そっちの方がラスボスより強そうなんだけど。
「実家に電話してるの?」
「うん。なんか姉貴に子供が生まれたみたいでお袋から早く結婚しろって煩いんだよ。こうも頻繁にかかってくると本人には言えないけどありがた迷惑なんだよね」
ちょっと母親に冷たいんじゃない? って思う。マザコンではなくて安心したけどマザコンって思う度、変なムカムカが起こるのはなぜ?
ちょっと怖すぎるくらいこの人なんだか恨まれてる。なんなの?
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