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付き合いだしてちょっとデートだなんて。なんだか美味しいお店があるみたい。今日はそこに行こうって言われて行ってみた。
「どう?」
「確かに美味しい!」
超鈍感なんだけど味に関しては煩いんだよな。
料理を堪能して帰る途中、彼氏が指差した。
「ここに住んでたんだよね」
その時、私はゾクリとした。なんだかやばい雰囲気がひしひし感じた。彼はニコニコしてるがそんな穏やかな雰囲気じゃない。これは近づいたらダメな物件だ。
「ちょっとここ嫌な感じだから早く帰ろっ」
そう言っても彼氏は平気で元住んでいたアパートに入っていった。
「だめだよ。もう住んでないから不法侵入だよ」
いいからいいから、ただ懐かしいだけだからってお構い無しに入っていく。私は気が気じゃない。ここやばいやばいやばいって。嫌な汗が吹き出してきた。部屋の前までとうとう連れて来られた。私は顔面蒼白だ。まずこの部屋はなしだ。絶対なしだ。絶対近づいてはいけない。
「満足した? だったら早く出ようよ」
「そうだね。ちなみに開くかな?」
笑いながら彼氏はドアノブを回した。
「開くわけないじゃんって……ちょっと!」
そう思ったら鍵がかかってない。簡単に開いた。おぞましい嫌な空気が溢れだしてくる。
「あら、開いたわっ」
なんて呑気に言う彼氏の横で私は恐怖の言葉しか出てこない。
──なんかいる!! なんかいる!! なんでこっち見てんよの! あれっ──
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