水滴

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朝のアラームが部屋に響き、 当たり前に仕事の準備を始める。 そうしていつも通り鏡の目の前に来て、変わらず自分を着飾る。 外は雨なんか降る様子もなく、部屋の中にいてもわかるくらい 太陽が照っていた。 最後のグロスを塗ろうとした手が止まる。 いつも通り、 綺麗な自分が映る。 きっと私が失恋しても、もしかしたら 死んだとして時間は変わらず流れていくのが逆に心地いい気がして 仕事をする時間も、 ご飯を食べる時間も。 箇条書きにしたみたいに一瞬で流れていった。 なのに、暗くなった帰り道だけは時間が長くて。
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