page20:心のモヤ

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「お二人とも、こんな時間までありがとうございます」  部活が終わり、葵が(そら)達に声をかけてくる。お礼を言い、案の定いつも通り送るという葵。 「不破さんは電車通学ですか?」 「はい!なので、もう少しご一緒してもいいですか?」 「もちろんですよ。女性の一人歩きは危ないですから」 「やった!ありがとうございます」  葵に言われて心底嬉しそうな瑞穂。その可愛らしさに天は癒されながら、葵と瑞穂のやりとりを見て、もしかして自分はお邪魔なのでは?と思えてきた。いや、でも瑞穂は同じ葵を推す同士。きっと、大丈夫……なはず。  少し自信なさげに唸っていると、葵が天の顔を下から覗き込む。瑞穂からは見えない葵の表情。その顔は少し笑っているようにも見えた。 「あの、赤音さん」 「ん?」 「今日はありがとうございました」 「え?ああ!こちらこそありがとう。安岐くん達の剣舞かっこよかったよ!」 「それはよかったです」  そう言いながら微笑む葵に天は具体的にどこがよかったのかなど言おうとしたが、瑞穂が話に入ってくる。 「安岐先輩達はお知り合いなんですか?」 「あ……うん。友達だよ」  天がそう返すと葵と目が合う。瞬間、口元に弧を描いてる葵の態度に天はドキッとしてしまう。 「友達……先輩たち仲いいんですね」 「うん、仲はいいよ。そうだよね安岐くん?」 「はい」  瑞穂に言われ、天は照れながらも頷いた。一応葵に確認すると肯定されたのでほっとする。仲良くないわけないのに、一々聞いてしまうのが天らしい。葵はそれをわかっているので、天に微笑んでいた。  3人は雑談しながら駅までの道を歩く。葵が自転車を押して、その隣を瑞穂、2人の後ろを天が歩いた。歩道の幅的にそうなったのである。 「安岐先輩って素敵な方ですね」 「そうですか?」
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