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静のストレートな物言いと優しく頭を撫でる手に天の頑なな心が溶かされていく。ずっと誰かに聞いてほしかったのかもしれない。話したら楽になれるかも……そう思った天は、先程静が言ったことを思い返して、ん?と聞き返す。
「あのー、静さん。未来のお兄ちゃんとは?」
「やって、葵と夫婦なったら俺天ちゃんのお兄ちゃんになるやん」
「夫婦!?いやいや!?お兄ちゃんのインパクトよりすごい!」
天はあっけらかんと話す静に慌てて否定する。
「安岐くんとはそういう関係じゃないですから。もお、前にも言いましたよね?友達だって」
「今はやん?未来なんてわからんし。まあ……天ちゃんがまだ無自覚ならしゃーないなぁ」
最後の方で静がぼそっと呟くが天には聞こえなかった。
「静さん?」
「いんや、別に?せや、天ちゃん一緒に葵のクラス見に行こうや。俺迷ってんねん」
思わぬ静の誘いに天は困り果てる。行きたくないと思っていたからだが、静は既に天の手を取り歩き出そうとしていた。
「ちょっと、静さん!」
天が抗議しようとした時、静と天の前にぬっと人影が現れた。良くいえば無造作ヘアともいえそうな黒髪のボサボサ頭に変な猫の絵のTシャツを身につけた長身の男。鬱陶しいくらい長い前髪から覗く目がギラリと睨んでいる。
「おい、天。おまえ何してんだ?イケメンに手繋がれてどこ行く気だ?壺でも買わされに行くのか?」
「お兄ちゃん!?」
男の正体は天と3つ違いの兄の空語だった。空語は天と静をジロジロと見比べる。それに対して静がニコッと人の良い笑みを浮かべて対応した。
「初めまして。弟が天ちゃんと仲良くさせてもらってます。安岐静いいます」
「弟?ああ……なんか最近やたらと天の話題にでる関西弁のチビの男がいたな。それの兄かよ」
「お兄ちゃん!変なこと言わないでよ!」
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