21人が本棚に入れています
本棚に追加
そう言って揶揄う葵に天は降参するしかなかった。真っ赤にした顔で少し恨めしそうに葵をジト目で見る。
「安岐くんの意地悪」
「俺は意地悪やなくて、天が好きなだけやで?」
「っ!もう!」
「あ、怒った顔もかわええな」
そう言って葵は笑う。その笑顔にキュンとしてしまう天はもう、どうしようもない。
「……安岐くんのバカ」
「はいはい」
そんなやりとりをしながら二人は駅に向かう。結ばれた二人の恋はまだ始まったばかり。これからどんな風に想いを紡ぎ、変わっていくのか……それを知るのは二人と、この恋物語を読む読者だけ。
「安岐くん」
「ん?」
「……好き」
「ん、俺もやで」
素直に好きと想いを伝えられることに天は喜び、葵と共に微笑む。この時間はかけがえのないもの。天は、今ある幸せを胸に刻んで、葵の隣を歩いた。
最初のコメントを投稿しよう!