(28)教授、焦る

1/3
前へ
/103ページ
次へ

(28)教授、焦る

古びた建物がごちゃごちゃと軒を連ねる街並み。 通称「山谷」 そこには、日雇い労働者、浮浪者、訳ありの人間、バックパッカー等、 彼ら向けに格安の簡易宿泊所が立ち並んでいる。いわゆるドヤ街だ。 何となく近寄り難い雰囲気を醸し出す中、捜査員たちはとある建物へと入っていく。 「ホテル簑屋(みのや)」は、この辺りにしては比較的小綺麗な建物だった。 久須野良也と白井百合花を捜して地道に目撃情報を集めた結果、この宿泊所に辿り着いた。 「若い女と中年男の、いかにも訳ありそうなカップルが泊まりに来た」 と、ホテル簑屋の主人がニヤニヤと笑いながら教えてくれた。 こうして、捜査員たちは彼らがいる404号室に踏み込んだ。
/103ページ

最初のコメントを投稿しよう!

105人が本棚に入れています
本棚に追加