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(0)事件、発覚する
4月上旬。
温かな春の陽気の下、散り初めの桜がそれでも尚美しく街を彩っている。
そんな中、異様な雰囲気を漂わせているマンションがあった。
近所の人たちが周辺に集まり、ザワザワと噂話に興じている。
「何かあったの?」
「死体が出たらしいよ」
「えー? 誰?」
「詳しくはよく分からないけど」
「自殺かなあ」
「孤独死とかじゃないの?
少し前から異臭がしてたらしいし」
「殺人事件だったりして」
「まさかあ」
マンションの出入り口付近に停車してあるパトカーを前にして、野次馬たちは興奮気味に話していた。
非日常を楽しんでいるようだった。
そんな中、新たなパトカーがサイレンを鳴らしながら現れた。
2台、3台……次々と現れてはマンション内に入る警察官を見て、野次馬たちは更に興奮を強めるのだった。
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