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小学校3年生だというヒロキに連れて行かれたのは声をかけられた道のすぐ裏にあるこぢんまりとした公園だった。話で聞いていた通り、葉の茂った木の枝にボールが引っかかっている。
そのボールに向かって、私と同じ制服を着た男子が石を投げていた。
「ちょっと…私あんなの取れないよ」
ボールまでの高さはざっと見た感じ3メートル近くありそうだ。
「お兄さーん‼︎でっかい人連れて来たよ」
ヒロキの声に男子が振り向いた。
「おっ…あ、あー…女か」
あからさまな期待外れの表情。
「どっかその辺の家にでも行って、脚立借りたら?」
ムカッとしてちょっと感じ悪い言い方になってしまった気もしたけど
「いや…うん。大丈夫、イケるっしょ」
そう言って彼は木の方に向いてしゃがんだ。
「…?」
「乗って」
「は?」
「肩車すっから」
「ちょ…私スカートなんだけど」
「スパッツとか履いてるっしょ?」
「は、履いてるけど…嫌だよ。何言ってんの」
「えー…じゃあ俺が乗るよ。ここにしゃがんでくれる?」
「は?」
「肩車して手を伸ばせば多分取れるっしょ」
「いや、取れるとは思うけど…」
「だろ?だから早く、ここにしゃがんで」
ヒロキとその側にいる2人も期待に目を輝かせている。
渋々しゃがむと、すぐさま彼が首に跨ってきた。
どうしよう、立ち上がれるかな?肩車なんてした事無いんだけど…。
両手で彼の脚を掴み強く地面を踏みしめる。
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