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第7章
第7章
左手を後ろから引っ張る感覚があった。
「何だ?」
と振り返ると、果物屋の旦那さんが、
「これ持ってけ」
と手渡し、カバンに入れてきたものは、カットされた美味しそうな
「パイン」
であった。
店の売り物である。
ビックリして、
「いや、駄目ですよ!自分だって働いているのだから、ちゃんとお代を払いますよ」
と、とっさに言ったら、
「あんたの元気になる顔が、また見たいだけだ。何も言わず、持ってけ」
ご主人は、見抜いていたのだ。
和也は、あまりにもご主人の
「ご厚意」
が嬉しく、襟を正し、我に返り、
「ありがとうございます!!」
と、その場所を後にしたが、自分の目からは・・・
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