捜索

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捜索

依然まあにとって自分の存在が何かプラスになるのかはわからなかったし、僕にはそれがすべてだった。いわゆる「世間」ってのは、実はいちばん近い誰かだ。だから誰かと世間に立ち向かうなんて出来やしない。 だけど箸にも棒にもかからなかった僕の小説もどきは五百年後になんと社会学として研究され、書けば生きて行くに十分な収益をもたらしてくれる。授乳の為の器官であるおっぱいに馬鹿みたいにちんこ勃てる事が性交に繋がり次の授乳対象を作ってた時代に僕は、「おっぱいなんて隠すから性的な意味を持ってしまう。だから出せば良い」と考えていた。男たちは服の上からおっぱいの様子を様々な場面で想像を膨らませては、股間を膨らませた。その半勃起の繰り返しは、顕になったおっぱいに爆発した。実際僕は、元妻が妻だった時、いつも隠されてしまうから盗み見た。だからそれをじっくり観察して記憶に刻めるセックスが好きだった。 タオルをわすれて風呂場の扉を開ける瞬間。 着換えの素早くブラジャーを着ける刹那。 その盗み見ようとして見れなかったおっぱい、その失敗のクリトリス、いや、繰り返しが僕の欲情を掻き立て性交成功への道を精巧なまでに模索させた。それはこの時代に立証されている。もしかしたら「被服」って概念は生物としての発情期を失いつつあったゲンシジンたちの切実な延命行為だったのかもしれない。単なる寒さしのぎじゃなくて。 おっぱいは性交のもと 僕は今、それを書いて生きている。 マスばかりカいて生きていたもとの時代では何の役にも立てず、ちんこばかり勃てていた。 けれども今は違うんだ。 ともあれ旅が出来るカネを得て、側にまあが居てくれる。 まあの、世間の役に立てるかもしれない。 皮肉な事に、ちんこが勃たなくなって。 「イこう!まあちゃん。イカせられないけど、今すぐに。元彼を探すんだ」「わたし指でもイッちゃうよ」「あっ、そうか!挿入ナシでもヤろう。ね?そのうち勃つかもしれない。まあちゃんイクとこ見てたら。それはどんなにおっぱい出しても隠された姿だからね」 まあは黙って顔を赤くした。
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