imitation of christ

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imitation of christ

弥生ちゃんは妊娠していた。あの時の僕の子だ。彼女の父親は急進的な反体制派で、地下に閉じ込められた「犠牲者」達によるクーデターを企て、その切り札として地上の「神様」たちが崇める僕を500年前から連れてきて、「教祖」である僕の子を受胎する事を娘に命じていたのである。弥生ちゃんはその責を見事に果たしたわけだ。 永瀬まさとしと名乗る(議員さんが選挙対策で平仮名表記にするのはこの時代も変わらなかった)弥生ちゃんの父親にフレンチのフルコースで饗されながら、僕は素直に疑問をぶつけた。 「弥生さんを孕ませたのはお詫び致します。それに責任取らせていただきます。爆乳は苦手だけど…。そのうえで、なんですが、僕は教祖なんかじゃない。現実には受難を柔軟に受け止め続けていずれ野垂れ死にそうな人生だった。げんに今だって、深夜バイトのシフト勘違いして休みなのに出て来ちゃって、昼間のバイトまでの時間潰しにランドリー回しながら書いてるんだ。わかるかい?全財産は500円。ギリギリのその日暮らしなんだ。そんな奴が書いた小説が500年後とはいえ聖典になってるなんて、有り得ない。それにそうだとしても、なんかやり方間違えてないだろうか?宗教革命なんてさ」「おお、有難き教祖さまのお言霊、吉村、しかと書き留めよ!」「はい、私は脳筋ですので、録音致しておりマッスル!」「弥生、教祖さまはばくにゅうが苦手だそうだ」「はい、父上」 しゅんしゅんしゅん ぺと 弥生ちゃんがiに想念を送ると、瞬く間にそのHカップは G F E D、と、Dカップまで萎んだ。 すると驚いた事に、弥生ちゃんは出産前の元妻にそっくりだった。僕はすかさず半勃起、しかしDカップってのは若い頃の元妻の自己申告だからたぶんサバ読んでただろう。実際にはも少し小さい、と僕の想念を感知した弥生ちゃんのiは ひゅん ともう少し縮んで手のひらサイズ。ああもうたまらない。ダメだコリャ、みんなイカれてる。僕も。 用意された部屋にふたり閉じこもり、腹の子に気を遣いながらスローなセックスを繰り返した。
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