666

2/4
前へ
/83ページ
次へ
「見かけない顔ね。新入り?」  どうやら僕はホストには向いてない。好みでもない女にどう接したら良いか皆目見当がつかなかった。そんなぎこちない僕を弥生とまあはめっちゃ楽しんで見つめている。「わくわく。わくわく」って瞳に書いてある。滝クリはそんな僕が新鮮なのだろうか、大物感を醸し出したいのか意に介さない様子でシャンパンを空けながら少しずつにじり寄ってくる。ああ、もうすぐ肘が触れる。 「来るなーっ!僕はあんたみたいな高身長スリムボディバッチリメイクの有名人みたいなのがいちばんダメなんだー!」  自分でも驚くくらいの拒絶反応。一瞬店内が凍りついた。きんにくんにくんとテルさんが僕に飛びかからんとこっちに身体を向けている。 「うふふ、おもらし、あ、面白い子。少し二人きりになりたいわ」 「嫌だ!僕は体調不良で早退させて、お、も、ら、しっ…」  あれ?身体が言う事聞かない。滝クリが目配せすると、弥生とまあが僕の両脇を抱え、ズルズルとVIPルームまで僕を運んだ。薄れ行く意識の中「弥生ちゃん?どういうこ、と…」「ごめんね、お酒にお薬入れたんだ。こうでもしないとあなた滝クリとヤりたがらないでしょ?ちなみにお薬は睡眠薬と催淫薬のカクテルよ。目覚めた時にはあなたのちんこは暴発寸前にガン勃ちしてるわよ」なんでよだれ垂らしてるんだろう?「ま、まあ、ちゃん?」「ごくり」ダメだ、固唾を飲んでいる。  VIPルームのドアには666と記されていた。  そこでプッツリ僕の意識は途絶えた。
/83ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加