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「何してるんすか!課長!もう信じらんない!パワハラ!セクハラ!職権乱用!!」
「う、うるさい黙れ!思いつく限りの適当なワードを連ねるんじゃない!大体お前も人のこと言える立場じゃねーだろうが!知ってんだぞ、俺の写真を加工したのはお前だろう!」
顔を真っ赤にした波多野が、ロングヘアにされた自身の写真を指差し怒鳴る。
「は、はぁ〜?知りませんよぉ?あたしじゃないです!」
しらを切るが、社内の共有フォルダに保管された波多野の合成写真は保存日時がつい10分前だったため、波多野は佐々木のノートパソコンを強引に開く。
「ちょっとぉ!勝手に触らないでくださいよ!」
「お前のじゃなくて会社のパソコンだから問題ねぇよ!サイトの履歴さえ見つけてしまえば……って、ホラみろ!」
佐々木のパソコンの画面には、まだ例のサイトの編集画面が開いたままになっている。
「あ、あれれぇ〜?おかしいですねぇ?」
目を泳がしながら誤魔化そうとする佐々木。しかし、今更無意味な抵抗であった。
「まあいい、とりあえず元に戻せ。てか普通ダウンロードして別名保存するだろ。何故共有フォルダのデータを上書きした?早く戻して保存し直せ」
「えぇ〜、おかしいですね〜、あたし上書きとかしてないのに」
「口答えすんな!はよ復元!」
一旦冷静になった波多野が佐々木にデータの復元を指示する。
「こんなふざけたことやってると総務にバレたらマズい。総務の部長は社長の身内だ、下手すると減給されかねん」
「減給、ざまぁ〜」
「お前も他人事じゃねーぞ。減給どころか山奥の支店に異動させられても知らねーぞ」
「げぇ、それは嫌…」
仕方なく、佐々木も開きっぱなしのサイトを操作し加工前に戻すボタンをクリックする。
しかし……
「あ、あれ?」
カチカチ、とボタンをクリックしても反応がない。
「おかしいな〜」
――カチカチ、カチカチ
何度もクリックするうちに、画面が一瞬フリーズし、そのままブツンと閉じてしまった。
「あー!!落ちたよ!?」
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