伸ばし伸ばされた二人

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 慌ててページを開き直すも、編集中だったはずの写真は完全にサイト内からは消されており、残されたのは共有フォルダに上書きされたロン毛の波多野だけだった。 「まじすか?どうなってんの、このサイト! あ、でも課長だけならただの事故ってことでデータ消去して何とかならないですかね?」 「事故って何だよ……、まあ、とりあえず俺のパソコンはサイトのページ閉じてないしまだ何とかなるだろ。二人セットで加工がバレる方がマズい」  そう言って、波多野は自分のパソコンの前に戻り、開かれたままの画面を確認する。 しかし… 「あれ?……ない」 「ないって、何が?」  怪訝そうに、佐々木も一緒に画面を覗き込む。そこには、開いておいたはずのページが完全に閉じており、通常のデスクトップ画面が青く光っているだけだった。 「ま、まさかだけどさ…」  恐る恐る、共有フォルダを確認してみると、波多野と同様に佐々木の写真も加工された状態で上書き保存されていた。 「「嘘でしょおおお!!?」」  先程まで敵同士だったにも拘らず、二人は手を合わせ絶叫する。 「消せ!早く消すんだ!あれこれ言われたとしても、ふざけた写真を見られるよりはトラブルで消えたことにした方がマシだ!」 「そそそ、そうっすね!消しましょう!!」  急いでファイルをクリックし、削除を選択する。が、何故か反応がない。  二人のパソコンや、同室に置かれている予備のパソコンからも削除を試みるが、どうしても二人の加工写真のデータが消えてくれない。 「まずいまずい、バグってやがるぞこれ!」 「うわぁ呪いのデータじゃないすか!どうします課長!?」  こんな状態で他の社員に見られでもしたら、ましてや総務や社長、専務にバレたら大変なことになる。 「せめて、ふざけていない写真に見えたらいいんだが」  ポロッと口から出た波多野の言葉に佐々木は反応する。 「そう、そうですよ!もう一回サイト開いて髪の毛とまつ毛を何とかするよう指示したらいいんじゃないですかね!?」 「そうか!その手があったか!」  再び二人はパチンと手を合わせる。
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